■今後の見通し
2. 中期経営計画
ODKソリューションズ<3839>は、2020年3月期実績の状況を踏まえて経営環境変化に対応し、前期の中期経営計画を見直し、ロールオーバーした新中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)を公表した。それによると、最終年度である2023年3月期の経営目標値(単体)は、売上高7,000百万円、経常利益700百万円と、前期の中期経営計画における2022年3月期目標値を1年延長・据え置きとしたが、売上高・経常利益ともに過去最高を目指す。配当については従来どおり、年10円の安定配当を堅持、としている。
また、同社が目指す企業姿勢や方向性を示すものとして、コンセプトワード及びタグラインを新たに策定した。そこでは、基本方針を「データビジネスによる新たな価値の創出」としている。基本戦略としては、1)各事業領域における提供サービスの拡充、2)保有するデータ量・種類の拡大、の2つ。それまでの証券金融グループ主体の事業モデルから脱却し、既に教育関連事業が中核的事業に成長し、独立系ITサービス企業としての収益基盤が確立できたことにより、新たな事業成長ステージにおける戦略を今回明確化したものと言える。
重点課題としては、「アライアンス、M&Aの推進」「UCARO(R)関連サービスの拡充」「事業横断サービスの開発」の3点を掲げている。同社では、大学入試制度改革や高大接続教育制度改革等の社会的環境変化の中で、受験生と大学をつなぐプラットフォームとして同社の第1の主力サービスである『UCARO(R)』を機能強化している。さらに同社は、『UCARO(R)』をデータのプラットフォームとして育成し、教育業界のみでなく、金融や医療業界、その他の各事業領域を横断的につなぐハブの位置付けにして、社会におけるデファクトスタンダードのサービスにしようという壮大な構想を掲げている。もちろん、そこに至るまでには既存の主力サービスの拡充に加え、新たなサービス領域の拡大をアライアンス・M&Aによって取り組んでいく、ということを計画しているようだ。同社はこれまで、機密性の高い大量データ処理のノウハウ・技術力の蓄積があり、この強みを生かして、それとシナジーを発揮できるサービスや顧客分野に進出していくという方針だ。今後もアライアンスやM&Aを積極的に行っていくもようである。財務分析でも明らかなように、そのための手元資金も十分に手当てができているようだ。
また、2020年3月17日付で市場第2部へ変更となった。株主評価は好評のようで、株価も比較的安定しており、さらに市場第1部への変更も目指しているとのこと。新型コロナウイルス感染症拡大の影響や成長投資負担などのため、直近の年度の業績はやや足踏み状況にも見えるものの、教育関係では政府の教育現場のICT化推進などといったフォローの風もあり、環境変化の波を的確に捉えて対応し、新規事業領域での拡大が成功すれば、新中期経営計画の最終年度目標達成は大いに期待できるものと弊社では考えている。
3. 重点課題の概要と取り組み
今回公表された新中期経営計画における2021年3月期の重点課題は、1)アライアンス、M&Aの推進、2)UCARO(R)関連サービスの拡充、3)事業横断サービスの開発、の3点である。これらの重点課題に対して、それぞれ強みを有する企業・団体などとアライアンスを実現し、サービス提供を推進している。
(1) 教育領域
教育領域では、保護者向けサイト『UCARO(R) family』と全国大学生活協同組合連合会(大学生協連)が連携し、入学予定者やその保護者へ入学準備・大学生活などの情報を早期・的確に届けるサービスを提供するなど、『UCARO(R)』の付加価値向上に向けた取り組みの推進を行う。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響への対応強化として文部科学省が検討中の、AO入試・推薦入試の選考方法見直しや、大学における2021年度入試向けにWebでのオープンキャンパスや進学説明会・模擬講義への切り替えの動きなどに対して、『UCARO(R)』を中心としたWeb完結型サービスの積極的提案を進める。
(2) 金融領域
金融領域では、「犯罪収益移転防止法」施行規則改正などの法改正に対して、非対面での口座開設に伴う新しい本人確認サービスを金融機関・一般顧客に提供する検討を進める。また、証券関係では、近年投資家及び証券会社双方からIFA※へのニーズが高まっているが、約定・決済処理を行う基幹システムと連携し、顧客情報・商品情報・運用状況の閲覧等もできるIFA専用Web取引システムを提供する取り組みを始める。
※金融商品仲介業者。特定の証券会社等に縛られることがない独立したファイナンシャルアドバイザーのこと。
(3) カスタマーサクセスマネジメントツール『pottos』の拡販
新規事業領域でのチャレンジとして、SaaS事業者をターゲットとしたカスタマーサクセスマネジメントツール『pottos』の提供を推進する。これは、SaaSユーザーの行動を可視化・管理・分析し、ユーザーの解約予兆を把握してそれを防止させるためのサービスである。国内SaaS市場の拡大※に合わせた有望なサービスとして期待できる。
※富士キメラ総研調査による市場予測では、2019年度5,646億円から2023年度8,174億円に拡大する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
《YM》
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July 27, 2020 at 01:06PM
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ODK Research Memo(6):中期経営計画を刷新、「データビジネスによる新たな価値の創出」へ - 株探ニュース
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