Sunday, July 26, 2020

(社説)水害時の行動 事前の計画で命を守る:朝日新聞デジタル - 朝日新聞社

 熊本県の球磨川流域に甚大な被害をもたらした豪雨から3週間が過ぎた。4連休中もこの地を含む各地で激しい雨が降り、気の抜けない状況が続く。

 流域一帯では、災害時にとるべき行動を時系列で整理したタイムライン(防災行動計画)を数年前から策定していた。

 減災につながるツールとして各自治体で導入が進むが、なかでも球磨村や人吉市は先進地として知られる。警報の発出具合や球磨川の水位に応じて、自主避難所の設置や早期避難の開始などを細かく定めていた。

 それでも被害が出た。計画にはどんな効果と限界があったのか、しっかり検証し、教訓や課題を全国で共有したい。

 今回、両市村は大雨警報が出る4時間以上前の3日午後4時に、タイムライン運用会議を開いた。球磨村ではただちに「避難準備・高齢者等避難開始」情報を発表し、翌日未明にかけて避難勧告、避難指示とより強いアラームを出していった。

 ただ、日付が変わったころから雨の降り方が急速に激しくなり、情報が住民に十分伝わらなかった可能性がある。今後、確認すべき事項の一つだ。

 国土交通省は14年ごろからタイムライン作りを推奨し、これまでに国が管理する河川の流域の730市町村が策定している。むろん大切なのは作ることではなく、いざという時に確実に避難につなげることだ。

 そのためにまず考えるべきは、住民に対応を促すタイミングだ。台風のように数日前から動きが読める場合と違い、短時間で状況が激変する今回のような豪雨では、呼びかけと避難の間で確保できる時間は短い。雨のピークが深夜になるような時は、最悪の事態を想定して前倒しでの情報発出が求められる。

 地域全体の意識を高めることも重要だ。各地のタイムライン策定を指導する東大の松尾一郎客員教授は「町内会などの単位で住民が避難に動くしくみを作らないといけない」と話し、計画作りの段階から住民が参加する必要を強調する。

 最近は一人ひとりの「マイタイムライン」を作る動きが、小学校などで広がる。こうした「個」の動きと行政の計画とが結びつけば、より大きな効果を発揮するのではないか。

 国土交通省は、識者の意見や先進的な自治体の取り組みを踏まえて、「流域治水」の考えを打ち出している。自治体や市民の参画を得て、地域の特性に応じた防災・減災策をめざすものだ。気象の激甚化に伴い、ダムや堤防などのハード整備だけでは被害が抑え切れない現実を直視し、ソフト対策の充実により力を入れる時にきている。

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