府は、府立大や植物園などの文化施設が集積する「北山エリア」(左京区)の再開発を計画している。多くの建物が老朽化し、街にかつての華やかさがなくなったとの指摘があり、これまで以上に音楽やスポーツなどのイベントを開催できる施設を建設し、にぎわいを復活させたい考えだ。(梨木美花)
■進む老朽化
北山エリアは京都市中心部に位置し、東は下鴨中通、西は賀茂川、北は北山通、南は府立大に囲まれた約40ヘクタール。1924年に開園した府立植物園や、京都に関する資料の収蔵などを担う総合学習施設である府立京都学・歴彩館、京都市交響楽団の活動拠点でもある京都コンサートホールなどが集まった緑豊かな地域だ。
一方、各施設では深刻な老朽化の問題を抱えている。
府立大下鴨キャンパスには15棟の建物があるが、メインの体育館と研究室などが入っていた4号館は建設から50年以上経過し、耐震性の問題などで使用を取りやめている。
京都学・歴彩館に所蔵資料を移して2016年に閉館した府立総合資料館は、地下鉄北山駅の1番出口を出てすぐの好立地にあった。ただ、解体されることが決まっている建物は、5年たった今も手が付けられていない。植物園も築約30年の観覧温室が雨漏りや窓が動かなくなるなど、老朽化が進んでいる。
■「てこ入れ」計画
府はそれぞれの「てこ入れ」に向け、整備を計画している。
府立大には新たな体育館を建設し、二つのアリーナを設ける計画だ。メインアリーナでは、学生スポーツの全国大会のほか、プロチームや国際的な試合が誘致できるよう、バスケットボールコート3面分と1万席程度の観客席を設置。サブアリーナにはバスケコート2面分と武道場を整備する予定。音楽ライブなどでの使用も視野に入れる。
府立医大と京都工芸繊維大の3大学での共同利用を想定しており、府の担当者は「学生にとって様々な人と交流ができ、貴重な経験となるだろう」と話す。
府立大は学部学科の再編を検討中で、今年度中に方針を決める予定といい、それに応じてさらに施設を改築する可能性もあるという。
総合資料館跡地には、芸術拠点施設を建設する方針だ。演劇やバレエなどを上演する約500席のメインホールや、ダンスや伝統芸能の練習室、展覧会が開催できるギャラリースペースを兼ね備える。民間事業者の参画を想定し、宿泊や飲食のスペース、大規模な会議場などの併設も検討する。
植物園の観覧温室は建て替えか改修を実施し、ミュージアムショップやビジターセンター、芝生の広場での常設ステージの設置などを計画している。
さらに、総合資料館跡地に建設する芸術拠点施設や大学、植物園の間に通路などを整備し、互いに行き来しやすい環境を整える方針だ。
■「稼げる街」
府が再開発を進める背景には、「稼げる街」をつくり出したいとの思惑もある。北山エリアは交通の便が良く、府の担当者はイベントなどの開催地としてニーズが高いと見込む。府の財政状況は厳しいが、「民間事業者の参画を促し、事業費負担の縮減に努める」としている。
一方で、一部の住民や大学関係者からは「学問の場にふさわしくない」「商業主義に偏りすぎて、落ち着きある雰囲気が失われかねない」といった批判も上がっている。
府は今年度中に詳細の検討を重ね、来年度に事業者の公募を始めたい考えで、担当者は「住民に説明し、理解をいただきながら、文化とにぎわいの調和のとれた整備を行いたい」と話している。
からの記事と詳細 ( <府 「北山エリア」再開発>文化とにぎわい 調和へ - 読売新聞 )
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