Tuesday, July 27, 2021

(社説)東電再建計画 原発頼みに未来はない:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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 東京電力ホールディングスが、再建計画に当たる「総合特別事業計画」の改訂版をまとめた。事故を起こした福島第一原発廃炉や賠償にかかる費用21・5兆円のうち、東電が15・9兆円を負担するといった計画の大枠は、4年前の前回計画から変えなかった。

 事故を起こして実質国有化された東電にとって、福島に対する責任を果たすため、年5千億円の費用を確保し続けることが最優先課題だ。そのうえで利益を伸ばす目標も掲げる。

 問題は、収益力改善の切り札として、柏崎刈羽原発新潟県)の再稼働に期待し続けていることだ。

 もともと地元の不信は根強いうえ、最近もテロ対策施設などで不祥事が相次ぐなどしており、東電は原発を運転する企業としての適格性が疑われる事態になっている。

 にもかかわらず新計画では、信頼回復が不十分で再稼働時期を見通せる段階にないと認めつつ、10年間に3基が順次再稼働するとの想定のもと、全社で年4500億円規模の純利益を稼ぎ出す姿を示した。

 一方で東電は、再稼働による収支改善効果を1基で年500億円と従来の半分に引き下げた。原発の発電コストはほかの電源より安いという論拠が崩れつつあり、原発頼みの限界を自ら認めたともいえる。

 政府が海洋放出の方針を決めた福島第一原発から出る処理水の処分については、安全確保と風評対策に主体的に取り組み、風評被害が出たら「迅速かつ適切に賠償」とするにとどめ、具体策には乏しい。

 世界で脱炭素の流れが一気に強まる中、エネルギー業界は大きく変わり始めている。経営環境の変化を受け入れ、未来の先細りが避けられそうにない原発に見切りをつけ、新たな将来像を描く。これこそが、東電に求められることだ。

 カギを握るのは再生可能エネルギーである。東電も新計画で、再エネを積極展開する方針を打ち出した。30年度までに最大3兆円を投資し、洋上風力を中心に600万~700万キロワット程度の再エネ設備を国内外で新設。年1千億円規模の純利益を稼ぐ目標を掲げる。

 ただ、この3兆円に、同じ「脱炭素」技術として原発への投資も含むと説明することは理解に苦しむ。再エネに投資を集中させることで、今の目標を上回る成長の道を探るべきだ。

 もちろん再エネも激しい競争が予想される。困難を乗り越えて、福島への責任を全うできる企業になれるのか。東電の実質的な筆頭株主である政府の責任も重い。

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