Saturday, August 22, 2020

「神の山侵害」知って ハワイ・マウナケアに最大級 天体望遠鏡計画 - 中日新聞

超大型光学赤外線望遠鏡「TMT」の完成予想図。マウナケア山頂周辺にあるほかの望遠鏡群も描かれている=国立天文台提供

超大型光学赤外線望遠鏡「TMT」の完成予想図。マウナケア山頂周辺にあるほかの望遠鏡群も描かれている=国立天文台提供

北陸のフラ愛好家「日本も建設に関与」


 米ハワイ諸島の最高峰マウナケア(四、二〇五メートル)の山頂付近に日米など五カ国の共同事業で世界最大級の天体望遠鏡を造る計画がストップしている。二〇一五年に着工したが、「神々がすむ山」の自然や文化が壊されるとして先住民ハワイアンらが反対しているためだ。北陸でフラダンスを学ぶ人らは「霊峰白山に人工物が造られるようなもの。日本の多額の税金が使われている。問題を知ってほしい」と呼び掛けている。(沢井秀和)

 この天体望遠鏡は口径が三十メートルあり、「TMT(Thirty Meter Telescope)」と名付けられている。太陽系外の惑星、生命体を探したり、宇宙で最初にできた星や銀河のなぞに迫ったりするのが国際事業の狙いだ。

 マウナケアは気候が安定し、水蒸気量が少ないため、年間を通して観測でき、日本の「すばる」など各国の望遠鏡十三基がある。

 一方、この山はハワイ語で「白い山」という意味でハワイアンの心のよりどころ。一五年四月には、六十〜七十代の長老らが加わってアクセス道に障害物を置き、工事が中断した。工事許可などを巡る裁判を経て、一九年六月に州が工事再開を許可。七月に抗議活動が再び活発化し、州が工事再開期限を延長した。

 これらに反応したのが、富山、福井両県にも教室があるナ・レイ・プアラニ・フラスタジオ(石川県野々市市)。一五年十一月に金沢市内で催した発表会で特別プログラムを上演。女神たちがすむマウナケアを題材にした数曲を、伝統的な手法を用いたり、現代的に演出したりして踊った。

 発表会では、現地の映像もスクリーンに映し出された。ハワイアンらは「私たちが土地や故郷を本当に統治したいのであれば、今がその時だ」と語り掛けた。一八九八年に米国に併合されてからハワイ語が話せる人が激減するなど、ハワイの文化が消えてしまうという危機感がにじんだ。

 彼らの思いと踊りを重ねた舞台は評価され、コロナ禍で見送られたが今年、ハワイ公演が計画されていた。スタジオの依頼を受け舞台をプロデュースしたハワイの音楽家アーロン・J・サラさんは謝金の多くを逮捕された長老たちの保釈など支援に充てたという。

 スタジオ代表の竹沢佐江子さんは「ハワイの仲間たちはマウナケア、先祖から受け継いできた心、文化を大切にしたいと願っている。日本が計画に深くかかわっており、多くの人にこの問題を知ってもらい考えてほしい」と訴えている。

【メモ】TMT計画=日本、米国、中国、カナダ、インドの天文台、大学などで構成する「TMT国際天文台」が超大型光学赤外線望遠鏡を造る計画。従来に比べ10倍以上の集光力、3倍以上の解像度を見込む。当初の建設費は1800億円で、日本は375億円を負担し、2027年度に完成する予定だった。完成年度が遅れ、建設費も膨らむ見込み。日本は本体構造、600枚近くの鏡などを造る。

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