Saturday, August 8, 2020

社説 NHK経営計画 公共放送の責任を果たせ - 信濃毎日新聞

 肝心なところが抜け落ちている。NHKが公表した来年度から3年間の経営計画案だ。肥大化への批判を踏まえたことはうかがえるものの、公共放送としての足場がおぼつかない現状をどう立て直すのかが見えない。

 受信料収入の増加を背景にした拡大路線を転換し、事業支出の抑制を図ることを打ち出した。7千億円を超すまでに膨らんだ事業規模を6千億円台に抑える。ラジオや衛星放送のチャンネル削減を業務改革の柱に据えた。

 衛星放送は、BS1、BSプレミアム、BS4Kの3チャンネルを段階的に一つにするという。ラジオはAM放送の2波を一本化する。一方で、今春から始めた同時配信などインターネットの事業を拡充する方針は維持する。

 素直にうなずけない。チャンネルが増えすぎた面はあるにしても、番組の枠が減って幅広さが失われ、良質な番組ほどしわ寄せを受けないか心配になる。

 ラジオ離れも言われるが、日ごろから頼りにし、親しんでいる人を見落とすべきでない。語学講座などが充実しているのもAMが2波あってこそだ。災害時に情報を伝える手段として1波を確保しておけばいいわけではない。

 受信料収入に支えられたNHKによるネット事業の拡大は、民放を圧迫し、二元体制の下での放送の多様さを損なう恐れがある。技術が進展して通信と放送の融合が進む中、公共放送としてNHKはどうあるべきか。あらためて目を向けなくてはならない。

 何より見過ごせないのは、核心の「自主自律」がぐらついていることだ。かんぽ生命保険の不正販売を追及した報道番組をめぐっての経営委員会の対応は、それをあらわにしてみせた。

 日本郵政側からの抗議に、経営委は権限を逸脱して番組制作の現場に介入し、当時の会長を厳重注意した。その際の議事録を経営委は公表していない。全面開示するよう第三者委員会が答申したにもかかわらず、およそ議事録とは呼べない概要を示しただけだ。

 抗議を主導した日本郵政の幹部は、放送行政を所管する総務省の事務次官をかつて務め、官邸とも近い人物だった。うやむやに済ませていい問題ではない。議事録を公開し、NHKは自ら経緯を検証し直すべきだ。

 権力を監視し、主権者の知る権利を支える公共放送の役目と責任が根幹から問われている。そこがふらついたままでは、確かな将来像が見えてくるはずもない。

(8月9日)

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