Friday, March 27, 2020

『マインクラフト』がとうとう「地球」を生むか。1分の1スケールで再現計画が進行中、文明のすべてと世界の果てを創り出せ - AUTOMATON

『マインクラフト(以下、マイクラ)』で1分の1スケールの地球を再現するプロジェクトが進行中だ。プロジェクトは、その名のとおり、『マイクラ』内に地球を再現するという壮大なもの。音頭を取るのはYouTuberのPippenFTS氏。同氏はModを駆使することでゲームの制約を突破し、すでに自然地形のほとんどを創り出すことに成功している。今後は細部の修正や人工の建造物を生み出すため、他の『マイクラ』プレイヤーの協力を仰いでいるという。

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実物大の地球を再現するにあたり、第一の課題となったのが高さ・深さの制約だった。『マイクラ』ではプレイヤーが地上を移動すると、それに応じて周囲の世界が生成される。したがってその地平はほぼ無限大。しかし垂直移動に関しては、高さ256m以上のブロックを積み上げることはできない。同様に、地下も一定の深さまで掘り進むと固い岩盤に突き当たり、その下には何もない虚無が待ち受ける。これではマリアナ海溝はおろか東京タワーすら再現不可能だ。そこで導入されたModが「Cubic Chunks」。プレイヤーが垂直に移動するごとにその周囲の空間だけを自動生成できるModで、これによりゲームに負荷をかけることなく制約なく高度を生み出すことができる。

もう1つ大きな役割を果たしたModが「Terra 1 to 1」だ。こちらはGoogleマップをはじめとしたあらゆる地理学データを取得し、『マイクラ』のブロックとして出力するという凄まじいもの。地形の標高はもちろん、森林の分布・道路・気候などを実際のデータに沿って忠実に再現することが可能だ。動画内で見られるとおり、このModのおかげでエベレストやグレートキャニオンといった山岳・渓谷はすでにほぼ完成させられている。

「Terra 1 to 1」があれば本プロジェクトは完結してしまいそうな気もするが、事はそう簡単ではない。Modはデータを取得できている地形しか再現できないのだ。たとえばGoogleマップに掲載されていない微小な島々や複雑な海岸線は、生成されたワールドには反映されていない。またワシントン州の象徴・レーニア山は標高4392mを誇るにもかかわらず、山頂には雪の一片も見られないという。おかしなことになっているのがエジプトで、本来ピラミッドがあるはずの場所には膨大な粘土の山が形成されている。

PippenFTS氏はこれらの問題を解決すべく、”Build The Earth” 計画を立ち上げた。数多の『マイクラ』プレイヤーの協力を仰ぎ、人工の建造物まで含めた完全なる地球のコピーを完成させる狙いだ。プロジェクトの嚆矢として、PippenFTS氏は自らの故郷シアトルの建築を担当。すでにパイク・ストリートの定礎石を置き、壮大な施工に取り掛かっているようだ。参加を希望するプレイヤーは前述したModをダウンロードし、それぞれが担当の建造物を作って最終的なワールドに持ち寄ることになる。すでにRedditでは専用掲示板にて議論が交わされており、サーバーコストをまかなうためpatreonでの資金集めも開始されている。

今回の計画は、「地球そのまま」を再現するわけではない点もミソだ。というのも『マイクラ』の世界は平面上に造られている。つまり球体ではないため、北極点・南極点を通過しても地球を1周することができないのだ。では、今のところ極点より先には何があるのか。PippenFTS氏がテレポートで検証に向かったところ、そこには無辺の雪原が広がるばかりだったという。この点に関して同氏はユニークなアイデアを提案している。南極点より先には断崖絶壁を作り、中世に謳われた「世界の果て」を創り出そうというのだ。現代の建物だけでなく、こちらのクリエイトに関しても協力者を募集中だという。

ほかでは真似できないスケールの本計画だが、類似の試みは過去にも存在。国内においては2015年、北海道出身クリエイター・ヴォストク氏が日本列島を再現している。こちらは50分の1スケールながら、わずか5日間で造りあげたという驚異のスピード・クオリティで注目を集めた。

また国家プロジェクトとして実現しながら、悲劇的な結果を迎えた例もある。2014年、デンマーク地理庁は幅広い層への教育を目的に、『マイクラ』で1分の1サイズの自国土を再現。誰でもアクセス可能な状態で公開した。その際、悪意あるユーザーによる破壊を懸念し、アイテム「ダイナマイト」は使用できないよう制限されていたという。ところがここに盲点があり、鉱山用トロッコに設置できるTNTは無力化されていないことが判明。結果、精緻に再現された数々の建造物が心ないプレイヤーに破壊され、なぜかアメリカ国旗まで掲げられてしまうというブラックな顛末を迎えることになった。

※破壊される前の『マイクラ』デンマーク。

プレイヤーの無際限の創造欲(そして破壊欲)を刺激する『マイクラ』。これまでにも数々の壮大なプロジェクトが立ち上がってきたが、今回の”Build The Earth” が実現すれば歴代最大級のワールドとなるだろう。果たしてバーチャル空間はあまねく天地を創造することができるのか。今後の動向に期待したいところだ。

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"それに応じて" - Google ニュース
March 28, 2020 at 12:27PM
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