Saturday, May 2, 2020

米、年内にワクチン開発、量産計画 新型コロナ 官民で並行整備 - SankeiBiz

 【ワシントン=塩原永久】米国が新型コロナウイルスのワクチン開発を急いでいる。政府横断で進める「ワープ・スピード作戦」と呼ばれる計画は、有望なワクチン候補を手がける企業が、開発途中から生産体制を整備できるよう支援。年内に数億本の量産体制を目指す。世界的に競争が過熱する開発に国の威信をかけて臨む。

 米メディアに報じられた同作戦について、トランプ米大統領は4月30日の記者会見で、「責任者は私だ」と存在を認めた。ワクチンの安全性や有効性を確かめる臨床試験(治験)は通常1年~1年半を要するが、約8カ月で医療現場に投入する計画は「大げさではない」と述べ、スピード開発を主導する姿勢をみせた。

 すでに米国生物医学先端研究開発局(BARDA)がジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)と組んで、約10億ドル(約1060億円)を投じて開発を本格化させている。米バイオ企業モデルナにも最大4億8000万ドルを拠出した。

 米政府は資金拠出を通じて、ワクチン開発と生産体制の整備を一体的に支援。官民が連携し、医療現場への投入が承認されたワクチンを、早急に量産できるよう後押しする。企業にとっては、ワクチン投入が認められなければ設備投資が無駄になるリスクがあるが、政府支援を背景に「リスクを前提に先行して生産を始める」(米政権の新型コロナ対策チーム幹部)ことができる。J&Jは「米国内の施設の新設も含め、ワクチン生産体制を増強する」と表明した。

 世界保健機関(WHO)によると、新型コロナのワクチン候補は現在、約50ある。ワクチンや特効薬の開発に成功すれば、経済活動を停滞させる外出制限などの対策をとる重要性がなくなるだけに、欧州勢や中国も国力をあげて開発を進めている。医薬品の承認を担当する米食品医薬品局(FDA)のゴットリーブ元長官は、米紙への寄稿で「最初にゴールした国がいち早く経済を再建させ、国際的な影響力も高められる」として、米国が国際競争を制する必要性を強調した。

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