日本電子株式会社(代表取締役社長兼COO:大井 泉、証券コード:6951)は、新型ショットキー電界放出形走査電子顕微鏡 JSM-IT800を開発し、2020年5月より販売を開始しました。
《開発の背景》
走査電子顕微鏡(SEM)はナノテクノロジー、金属、半導体、セラミックスや医学・生物学の分野など、様々な分野で活用され、益々その用途を広げています。
また、使用される目的も基礎研究から製造現場、品質管理まで幅広くなっています。
それに応じて、より早く高画質データを取得したい、分析を意識しないでより楽に組成情報を確認したいという需要が高まっています。
JSM-IT800は、これまで当社が開発してきた、高分解能観察から高速度元素マッピングまで可能な「インレンズショットキーPlus電界放出形電子銃」、次世代型電子光学制御システム「Neo Engine」、EDSとフルインテグレーションし、使いやすさを追求したGUI「SEM Center」を共通のプラットフォームとしています。また、SEMの対物レンズをモジュールとして置き換えることで、お客様の様々なニーズに応じた装置を提供します。
JSM-IT800には、対物レンズの違いにより、汎用FE-SEMであるハイブリッドレンズバージョン(HLバージョン)と、より高分解能観察や分析を目的とするスーパーハイブリッドレンズバージョン(SHLバージョン)が存在します。SHLバージョンには新たな検出器UHD(上方ハイブリッド検出器)を標準搭載することにより、これまで以上に高S/Nの画像取得が可能で、容易な観察を実現します。
また、新しい反射電子検出器であるシンチレーター反射電子検出器(SBED)と多目的反射電子検出器(VBED)を搭載しました。SBEDでは応答性の良い、低加速電圧での材料コントラスト像の取得が、VBEDでは3D、凹凸、材料コントラスト像の取得が可能です。
《主な特長》
1. インレンズショットキーPlus電界放出形電子銃
電子銃と低収差コンデンサーレンズの融合により高輝度化を実現しました。低加速電圧でも十分な照射電流が得られ(100nA@5kV)、対物レンズの切り替えなしで高分解能観察から高速度元素マッピング、EBSD分析や軟X線分析まで行えます。
2. Neo Engine(New Electron Optical Engine)
当社の電子光学技術の粋を集めた次世代型電子光学制御システムを搭載しました。
条件変更時でも安定した観察が可能です。また、オート機能等の使い勝手を大幅に向上しました。
3. SEM Center/EDSインテグレーション
操作GUI「SEM Center」と、自社製EDSをフルインテグレーションし、次世代の操作性を実現しました。さらに、初心者にSEM操作方法をアシストするスマイルナビ(オプション)や、ライブ像を見やすくするLIVE-AI(Live Image Visual Enhancer-AI)フィルター(オプション)も搭載しました。
4. ハイブリッドレンズバージョン(HLバージョン)(HL:Hybrid Lens)/スーパーハイブリッドレンズバージョン(SHLバージョン)(SHL:Super Hybrid Lens)
電磁場重畳型対物レンズをベースとした2つのタイプの対物レンズを設定し、お客様の様々なニーズに応じた2種類の装置を提供します。これにより、磁性体から絶縁体まで、さまざまな試料を高空間分解能で観察、分析することができます。
5. 上方ハイブリッド検出器(UHD:Upper Hybrid Detector)
SHLバージョンの対物レンズの中に搭載された新検出器UHDにより、試料から発生した電子の検出効率が大幅に向上し、高S/Nな像取得ができます。
6. 新しい反射電子検出器
シンチレーター反射電子検出器(SBED、オプション)は応答性に優れ、また低加速電圧での材料コントラスト像の取得に有利です。多目的反射電子検出器(VBED、オプション)は分割された検出素子形状により、3Dや凹凸など特色ある画像を取得できます。
《主な仕様》
■JSM-IT800 SHLバージョン
分解能(1kV) :0.7nm
分解能(15kV):0.5nm
分解能(20kV):-
加速電圧 :0.01-30kV
標準検出器 :二次電子検出器(SED)
上方ハイブリッド検出器(UHD)
電子銃 :インレンズショットキーPlus電界放出形電子銃
照射電流 :数 pA - 500nA(30kV)
数 pA - 100nA(5kV)
対物レンズ :スーパーハイブリッドレンズ/SHL
試料ステージ:フルユーセントリックゴニオメーターステージ
試料移動 :X:70mm Y:50mm Z:2~41mm
:傾斜:-5~70° 回転:360°
EDS検出器 :エネルギー分解能:133eV 以下
検出可能元素B~U
検出素子面積:60mm2
■JSM-IT800 HLバージョン
分解能(1kV) :1.3nm
分解能(15kV):-
分解能(20kV):0.9nm
加速電圧 :0.01-30kV
標準検出器 :二次電子検出器(SED)
上方電子検出器(UED)
電子銃 :インレンズショットキーPlus電界放出形電子銃
照射電流 :数 pA - 300nA(30kV)
数 pA - 100nA(5kV)
対物レンズ :ハイブリッドレンズ/HL
試料ステージ:フルユーセントリックゴニオメーターステージ
試料移動 :X:70mm Y:50mm Z:2~41mm
傾斜:-5~70° 回転:360°
EDS検出器 :エネルギー分解能:133eV 以下
検出可能元素B~U
検出素子面積:60mm2
《本体標準価格》
JSM-IT800 SHLバージョン:98,600,000円~
JSM-IT800 HLバージョン :71,000,000円~
(EDS組み込み)
《販売予定台数》
JSM-IT800 SHLバージョン:90台/年間
JSM-IT800 HLバージョン :50台/年間
■本件に関するお客さまからのお問い合わせ先
日本電子株式会社 SI営業本部
お問い合わせフォーム: https://www.jeol.co.jp/support/support_system/contact_products.html
"それに応じて" - Google ニュース
May 25, 2020 at 07:30AM
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新型ショットキー電界放出形走査電子顕微鏡JSM-IT800を販売開始 ―次世代プラットフォームを採用したFE-SEM― - アットプレス(プレスリリース)
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