現在、世界各地で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発が急ピッチで進んでいる。ウイルスによる行動規制を大幅に緩和するには、ワクチンの存在が欠かせないためだ。しかしゴールへの道のりは、短距離走というより息の長いマラソンだ。承認へのプロセスは長く、またそれには正当な理由がある。スイスでもそれは変わらない。
「秋にはワクチンができる?それは何かの誤解にちがいない。今秋に期待できるのは、第II相試験(フェーズII)の開始だ」と医薬品を認可・監督する政府機関スイスメディック他のサイトへの広報担当ルーカス・ヤッギ氏は言う。
新薬の場合、原則として最初の臨床試験と市場投入までに10~12年はかかる他のサイトへ。だが世界的な緊急事態を受け、COVID-19のワクチンは特定のフェーズを短縮できるかもしれない。もっとも、全てがそうだとは限らない。
闘いの火蓋が切って落とされた
パンデミックの猛威は、危険な新型コロナウイルスの研究への強力な追い風となった。記録的な速さでゲノム配列が解析され、中国当局は既に1月11日、そのデータを世界中の研究者に提供した。
以来、世界各地の研究所では新型コロナウイルス(Sars-CoV-2)の研究を優先できるよう体制を整えた。今回の研究では、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)で開発されたテクノロジーが応用された。同じコロナウイルスの仲間であるSARSコロナウイルスも、当時世界中の活動を停止に追い込んでいる。
最初の臨床試験
世界保健機関(WHO)のホームページでは、現段階でのワクチン候補が110種類リストアップ他のサイトへされている(2020年5月11日時点)。そのうち102カ所の研究室は、まだ細胞培養、あるいは動物実験を行う前臨床試験の段階だ。
最先端のプロジェクト8件(中国4件、米国3件、英国1件)は臨床試験、つまりヒトを対象とした実験段階にある。臨床試験は国際的に統一された厳格な手順に従い、3つのフェーズで行われる。
● 第I相試験(フェーズ I):自由意思に基づいて志願した数十人の健常成人を対象に被験薬の試験を行う。被験薬が重大な安全上の問題を引き起こさないことを確認し、主要な副作用の特定を主な目的とする。
● 第II相試験(フェーズ II):検査は1人~数百人の患者を対象に行われる。一部、この疾患にかかっている患者を含むこともある。被験薬の有効性を検証し、適切な投与量を決定することを主な目的とする。
● 第III相試験(フェーズ III):このフェーズでは、複数の国から募った志願者が、最大数千人の規模でテストに参加する。目的は、フェーズIIの結果を証明することにある。ワクチンの安全性、有効性、適切な投与量などが再確認される。
生産能力もネックに
これらの3つのフェーズを終えると、被験薬の製造販売承認を得ることができる。ただし適切なワクチンを開発するだけでは不十分で、ワクチンを大量生産・提供できることも重要だ。
小規模のスタートアップ企業や大学の研究所がワクチンの開発競争に勝ったとしても、そこから利益を得るには大手製薬会社との連携が不可欠だ。
また、治療薬やワクチンは、承認が下りた後もモニタリングが続けられる。例えば時間の経過とともに製品に望ましくない副作用が出た場合や、これらの副作用が当初に認められた症状よりも深刻であると判明した場合、承認を取り消すことができる。
承認手続きの短縮は...
製造販売承認は各国で行われる。ワクチンの製造国が中国、米国、またはその他の国でも、スイスメディックは常に独自の評価を行う。例えその製品がすでに外国で承認されている場合でも同じだ。ただし同等の薬物規制がある国で実施された試験は考慮される。
スイスでも他国と同様、事態の緊急性は痛いほど分かっている。そのためスイス連邦内務省保健局(BAG)は、連邦政府やスイスメディック、科学分野、ビジネス分野の専門家からなる作業班「COVID-19ワクチン」を立ち上げた。
「研究開発を加速し、安全で有効なワクチンをできるだけ早く入手できるように努めるのがこの作業班の目的だ。また同時に、ワクチンの公正な供給にも貢献したいと考えている」とヤッギ氏は言う。
... スイスでも可能だ
承認手続きの期間は、医薬品と医療機器に関する連邦法(HMG他のサイトへ)とその実施規則で指定されている。
また、政府はパンデミックと闘うために3月13日、感染症法に基づく強権を発動し、COVID-19条例2他のサイトへを制定した。その第4条他のサイトへには、販売承認が下りる前であっても、スイスメディックがその医薬品のベネフィット・リスク評価に基づき、使用を承認する権限を持つと規定している。
最短でも2021年
それでも、いつワクチンが利用できるようになるかはまだ分からない。少なくとも「患者の安全を考慮しつつ、迅速に評価するための法的・規制的手段は整っている」とスイスメディックのヤッギ広報担当は述べた。
つまり具体的には「全てがうまくいけば、ベストケースで年末までに最初のワクチンが利用できる可能性がある。そして大量生産のハードルをクリアできれば、大規模なワクチン接種を2021年からスタートできるかもしれない」という見通しだ。
ベルンの研究所もワクチン開発に着手
かつて労働者居住区だったベルンのビュンプリッツにある研究所から「ワクチン候補」の一つが生まれるかもしれない。まだ前臨床試験の段階ではあるが、開発に携わっているのは米国の製薬大手ジョンソン&ジョンソンの子会社ヤンセン他のサイトへ。新たなアプローチでエボラワクチンを開発した実績を持つ。
同社は新型コロナのワクチンにも同じテクノロジーを採用。まず普通の風邪をひきおこすウイルスの遺伝子を組み替え、繁殖できないようにする。その上で新型コロナウイルス(Sars-CoV-2)の断片と組み合わせ、ウイルスを撃退する抗体を作るよう体の免疫系に刺激を与える仕組みだ。
2021年初頭よりも早い段階で新型コロナのワクチンが完成することは難しい。ヤンセンのディルク・レードリッヒ社長は、「今回のパンデミックでは、競争という考えがない。他社のワクチンが効けば、それはそれで喜ばしいことだ」と大衆紙ブリックに回答。また、コロナワクチンは一攫千金のビジネスではなく「このパンデミックで金儲けするつもりはない」という立場を示した。
インフォボックス終わり
(独語からの翻訳・シュミット一恵)
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May 24, 2020 at 01:30PM
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