台湾、3段階に分け観光振興を図る計画
台湾政府は、新型コロナウイルス感染症の状況が台湾、中国で抑制されていることから、10月1日から入境と国際観光への規制を緩和する方向で検討を始めたと経済日報などが報じた。台湾と中国を結ぶ航空路線は、現在、北京や上海、廈門、成都と台湾を結ぶ路線のみ運航されているが、10月1日から、その他中国の空港との運航も再開する見通しとなった。
台湾交通部によると、台湾では3段階に分けて、「防疫旅行」→観光業の振興を図る計画としている。
ステップ | 期間 | 実施予定内容 |
第1段階 防疫旅行 |
5/27〜7/31 |
一部公共交通機関の規制緩和。旅行者や交通機関、宿泊施設、飲食店などへの感染予防ガイドラインを策定し、域内各地への旅行を促す |
第2段階 |
8/1~10/31 | 公共交通機関の一層の規制緩和。感染予防対策をとった上で、団体旅行と個人旅行の双方に補助金を支給し、国内旅行を推進 |
第3段階 国際旅行 |
10/1〜12/31 |
国際観光旅行の解禁。海外で感染抑制が出来ている国からのインバウンド誘致 |
現在、台湾では公共交通機関での飲食の禁止などの措置がとられているが、6月1日から、台湾鉄路と台湾高速鉄路での車内の飲食を解禁する見通し。8月1日からは、弁当の車内販売の再開や、座席間隔を通常に戻した乗車方法などを実施予定。マスク着用や体温測定などの義務も状況をみて解除していく予定だという。
ベトナムは、安心安全な国であることを世界へアピール
これまでに新型コロナウイルスの感染者数318人、死者0人に抑えることのできているベトナム。SARSと鳥インフルエンザの経験もあったことから、1月27日に中国が団体での海外旅行を禁じた数日後の2月1日には中国との旅客航空便の運航を停止させるなど、早い段階から水際対策にも着手。現在は、すべての外国人へのビザ発給を停止し、海外からの入国制限措置をとっている。
グエン・スアン・フック首相は、観光復興策を討議するビデオ会議を開き新型コロナウイルス感染症を抑制できている安心安全な旅行先として世界にアピールすることで、ベトナム観光を売り込んでいく方向性を示した。
合わせて、国が管理する遺跡や観光地などの入場料を半額にすることや、観光業に対する付加価値税(VAT)を10%から5%に、法人税を22%から15%に引き下げ、夏休み期間を8月中旬から9月中旬までの約4週間とすることなどを決めた。
アジア諸国でコロナが収束したら、優待パッケージを盛り込んだ「Vietnam NOW – Safety and Smiling(ベトナム・ナウ安全と笑顔の国)」コミュニケーションキャンペーンを実施予定だという。訪越旅行者数の多い中国、韓国、日本などで展開していく。
ベトナム観光総局(VNAT)は、ベトナム観光業界が今回の新型コロナで受ける被害は77億USドル(約8,250億円)になるとレポートしている。
タイでは規制緩和、第2弾。店舗への入店管理システムも導入
タイでは17日より規制緩和の第2弾が実施された。これによりショッピングモールや、レストランなどへの規制が緩和され営業も再開された。ただし、酒類の販売は引き続き禁止されており、バーやパブなどの営業は認められておらず、タイマッサージ店や映画館なども引き続き規制対象となる。
店舗の営業が再開されるのにタイミングを合わせ、店舗への入退店管理システムで使用するプラットフォーム「タイ・チャナ」を17日からスタートさせたことを、新型コロナウイルス感染症対策センターの広報担当が発表した。
このプラットフォーム「タイ・チャナ」に、各店舗は同一時間に受け入れ可能な顧客人数を明記しオンライン登録し、送られてくるQRコードを店舗の入り口に掲示。店舗の利用者は入店時、および退店時にそのQRコードを自身のスマホでQRコードを読み取る仕組み。店舗利用者は「タイ・チャナ」にアクセスすることで、自身がこれから訪れようとしている店舗の混雑状況を知ることができる。すでに17日午前中だけで全国で1万を超す店舗が登録したという。
タイ国政府観光庁(TAT)は、ホテルや飲食店の衛生状態を示す独自の認証制度「アメージング・タイランド・セーフティー・アンド・ヘルス・アドミニストレーション(SHA)」を立ち上げている。
SHA認証は、タイ保健省、観光スポーツ省、タイ・コンベンション・エキシビション・ビューローなど関連団体と協業した認定となっており、保健省の疾病管理部門によるCOVID-19管理ガイドラインに従うことや、観光客に安心安全の取り組みを確実に行うこと。また、地方文化の維持や現地コミュニティーと観光客との交流を進めることを、観光事業者に求めている。
国内の強い反発により、タイ航空の救済を断念
もう一つタイの話題となるが、新型コロナウイルスの感染防止のために休止していた国内線の運航が5月1日から再開となった。現在タイでは国境の多くが閉鎖され、外国人の入国は認められていないため、観光スポーツ省は国内旅行促進に向けたキャンペーンを積極的に行い、今年の国内の旅行を1億件に増やすことが目標。タイ国政府観光庁は、「国内旅行を活性化させるために、日本、中国、ヨーロッパなどからの外国人駐在員にも積極的にアプローチしていく」としている。
また、観光スポーツ省では今後タイを訪れる外国人旅行者に最大300バーツ(約1,000円)の課税導入も検討している。
タイでは現在、新型コロナウイルス感染拡大が広がる海外から入国した人に14日間の行動制限を求めているが、15日、韓国、中国、香港、マカオをこれら感染症ゾーンのリストから削除することを決定したと発表した。これらの地域からの入国者は行動制限の必要はなくなるが、6月末まで海外からの航空機の乗り入れは認められていないため、これらの地域からも入国できない。
一方、タイ民間航空事務所(CAAT)は5月16日、必要物資輸送などを除きタイへの海外からの航空機乗り入れを原則禁止とする措置を6月30日まで延長すると発表した。これに伴いタイ航空でも、「不確定要素がある」としながら、7月1日よりの一部の国際線の予約受付を開始した。この中には、東京(羽田週4便、成田週4便)、大阪(関西週3便)、名古屋(中部3便)も含まれている。タイ航空は以前から厳しい経営状態となっていたところに、新型コロナウイルスが追い打ちをかけ、破綻処理になる可能性も、国際便再開の不確定要素の一つとなっている。
タイ政府は、ナショナル・フラッグ・キャリアであるタイ航空株の51%を保有しており、当初は救済を予定していた。しかし、新型コロナウイルスによるロックダウンで、タイ観光業全体が大きなダメージを受けている中、タイ航空のみを救済することに対して国内から強い反発の声が上がり、政府は救済計画を撤回。タイ航空の経営破綻は、ほぼ決定的となった。
(やまとごころ編集部・外島美紀子)
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