新型コロナウイルスの流行「第6波」に備える都道府県ごとの医療提供体制の確保計画を、厚生労働省が公表した。 今夏の第5波で大勢の患者に十分に対応できなかった反省を踏まえ、第5波ピークの3割増となる約3万7千人の患者を受け入れるとした。 医療が逼迫(ひっぱく)した際には、計約6千人の医師や看護師を派遣できる態勢も整えたという。 机上の数合わせに終わっては失敗を繰り返すことになる。どんな状況でも医療がしっかり機能するよう、実効性が問われる。医療機関や各自治体へのきめ細かな支援が必要だ。 第5波では、患者受け入れが追いつかず、入院できずに自宅で亡くなる人が相次いだ。コロナ病床とされながら実際は稼働していない「幽霊病床」も問題となった。 新たな計画では、病床の上積みとともに、使用率の向上に目を向け、第5波の約68%から最大約82%に上げることを目標に掲げた。各都道府県は医療機関と約束の書面も交わしているという。 ただ、患者を受け入れられなかった背景には、医療人材の不足があり、準備に時間がかかったり、病状が重く病院の対応力を超えたりしたこともあるとされる。 現場の実態に応じて病床を有効に活用する仕組みが欠かせない。自治体と医療機関の意思疎通や、病院間の連携を十分に図りたい。 全国約2千の医療機関の協力を得て集める6千人の医療人材は、自治体が整備する臨時医療施設などで治療に当たってもらうことを想定した。 都道府県をまたぐ派遣の調整やコロナ対応の研修など、いざというときにすぐに実務を始めてもらうための準備を着実に進める必要がある。 新たな変異株「オミクロン株」への対応も課題だ。 新計画は、ワクチン接種の感染抑制効果も念頭に作られているが、「デルタ株を超える感染力の可能性もある」との指摘もある。入院が必要な患者が想定を超えるケースもありうる。 状況の変化に応じ、計画を柔軟に見直す必要があることは言うまでもない。 入院調整などに当たる保健所の人員体制を最大約3倍に強化することや、健康観察のための約3万4千の医療機関との連携なども計画に盛り込まれた。自宅・宿泊療養者の病状の悪化にも迅速に対応できるよう万全を期してほしい。
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