昨年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川流域の治水対策として、支流の川辺川で検討している流水型ダムについて、国土交通省が従来の川辺川ダム計画の予定地(相良村)に、同程度の規模で建設する方針を固めたことが分かった。同省九州地方整備局の藤巻浩之局長と蒲島郁夫知事が7日、相良村と、水没予定地となる五木村を訪問して伝達する。
関係者によると、ダム建設に適した地形であることや、既に用地買収や道路などの関連工事が進んでいることを踏まえた。ダムの規模は、従来の川辺川ダム(高さ107・5メートル、総貯水量1億3300万トン)と同程度とする方向だ。
従来は治水と利水を目的とした多目的ダムで、治水分の洪水調節容量と利水分で計1億600万トンを備える計画だった。新たなダムは治水専用となることから、球磨川流域の自治体首長からは利水分も有効活用して治水効果を高めるべきだとの意見が出ていた。
川辺川ダム計画は旧建設省が1966年に発表。相良、五木両村の水没予定地からは500世帯以上が移転した。2008年に蒲島知事が白紙撤回を表明し、「脱ダム」を掲げる民主党政権が09年に中止したが、九州豪雨を受け、国、県、流域市町村は今年3月、流水型ダムを柱とする治水対策をまとめていた。
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