国有企業のデフォルトが記録的な水準で発生した2020年
新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、政府の計画は一時的に頓挫した可能性があるが、パンデミックが収束し、経済が回復する中、2020年後半には国有企業(SOE:state-owned enterprise)による一連のデフォルトが発生している(図表2参照)。
オンショア市場のデフォルトのセクター別内訳を見ると、2018年から2020年にかけてその構成に変化が見られる(図表3参照)。3年前、財政の圧迫に屈した企業の多くは過剰生産能力の影響を受けた産業、すなわちエネルギー、公益事業、資本財、素材などの企業であった。
しかし、昨年は状況が変わり、残高ベースのデフォルトの40%がテクノロジー分野で発生した。中でも、同分野のデフォルトの約半分は中国のトップ大学の一子会社に起因するものであった。
一方、オフショア市場では、2018年のデフォルトの4分の3はエネルギーセクターで発生したが、2020年にはその7割近くが金融とテクノロジーセクターだった。
2020年にSOEのデフォルトが記録的な水準で発生したことで、投資家は、すべてのSOEではないにしても、ほとんどのSOEの背後に暗黙の政府保証があるという前提を見直すようになった。
国家戦略上の利益や、金融システムを脅かす潜在的なシステミックリスクがある場合を除き、SOE債の価格設定において、このような保証はもはや当然のことと考えるべきではなくなっている。
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