マレーシアのイスマイル・サブリ防衛相は6月27日、6月28日までの予定だった「国家回復計画」第1段階の措置を、第2段階への移行条件を満たすまで延長することを発表した。
制限緩和の基準を設定
第2段階への移行基準は、(1)1日当たりの感染者数が4,000人以下、(2)公衆衛生システムの状況および集中治療室(ICU)の利用率が回復し危機的状況を脱する、(3)ワクチンを2回接種した人の人口比率が10%以上、の3点。6月28日時点の感染者数は5,218人で、ワクチンを2回接種した人の比率は6.5%(約213万人)となっている。
6月29日以降の操業可能業種や出勤率を含む制限内容に大きな変更はないが、飲食店・レストランの営業時間のみ午前6時から午後10時までに延長される〔2021年6月2日記事および6月29日付標準作業手順書(SOP)(注)参照〕。
また、イスマイル防衛相は、第2段階に移行した際に操業を許可する対象業種について、製造業では自動車(車両および部品)、セラミック、輸出用家具工場、ゴム、鉄鋼、セメント、サービス業では書店、文房具店、コンピュータ・通信機器、電気製品、洗車サービス、美容院・理髪店(散髪のみ)を挙げた。ただし、営業時間は午前8時から午後8時までとなる。
日系企業は操業継続に苦慮
6月1日以降、自動車や鉄鋼など出勤率が最大10%に規制されている業種では事実上、生産停止が続いている。また、政府当局の立ち入り検査により、SOPの内容を順守していないとして操業停止命令や操業許可が取り消される事例が散見されるなど、操業可能業種の企業にも大きな影響が出ている。ほかにも、サプライヤーの操業停止に伴う部品・原材料の調達の遅れ、生産計画が遅れることでの納品の遅れ、操業可能業種以外の非製造業では操業可能業種からの要請があってもサービス提供に行けないなど、さまざまな弊害が出ており、第1段階の長期化により事態の深刻化が懸念される。
(注)マレー語のみ。
(田中麻理)
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