Saturday, April 10, 2021

知らずに買うな! 「都市計画」と「用途地域」のキホンを解説《楽待新聞》 - ニュース・コラム - Y!ファイナンス - Yahoo!ファイナンス

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不動産を購入する際、「重要事項説明」を受ける。しかし、重要事項説明書に記載されている内容は、専門用語も多く、「よくわからない」と思いながら説明を聞いている投資家もいるのではないだろうか。

今回は、大手不動産会社でトップセールスの経験を持ち、経営コンサルタントで行政書士YouTuberとしても活躍する棚田健大郎氏に、重要事項説明書に記載のある「都市計画」と「用途地域」について解説してもらった。

<今回の目次>
1. そもそも「都市計画」って何?
2. 都市計画区域と都市計画区域外
3. 市街化区域と市街化調整区域
4. 「用途地域」とは

■そもそも「都市計画」って何?

「都市計画」とは、都市の将来を想定して、そのために必要な規制・誘導・整備を行い、より良い都市に発展させるための方法や手段のことだ。

例えば、住宅地の真ん中に化学製品の工場ができたとしたら、どうだろうか? また、小学校などの隣にパチンコ店ができたら、どうだろうか? どちらもあまり好ましい状況とは言いがたい。

このような事態が発生しないようにするための法律が、「都市計画法だ」。都市計画法とは、都市の健全な発展を図ることを目的として制定された法律のこと。

「都市計画法」で定めるものとしては下記のようなものがある。

・都市計画決定の手続き
・市街化区域、市街化調整区域
・用途地域等の指定
・都市計画事業の認可や施工
・開発許可制度等の都市計画制限

■都市計画区域と都市計画区域外

「都市計画法」に基づいて、計画的なまちづくりを行うために、日本の国土を「都市計画区域」とそれ以外の区域に分けている。都市計画区域に当てはまらないエリアを「都市計画区域外」、「準都市計画区域」という。

上記3つの区域について簡単に説明していこう。

1.都市計画区域
積極的に都市を形成していく区域。日本国民の98%は都市計画区域に住んでいる。

2.都市計画区域外
野生動物などが暮らしている山林があり、ほとんど開発をしないような場所。具体的には、富士山のふもとの国有林などが該当する。万が一、不動産会社などの業者が都市計画区域外の土地を「将来リゾート地になる」などと言って購入を勧めてきた場合は、詐欺の可能性もあるので十分に注意が必要だ。

3.準都市計画区域
秩序なく行われた開発や、規制なしで建てられた建物をそのまま放置しておくと、将来の開発や保全に問題が発生する恐れのある区域。例えば、将来、高速道路のインターチェンジをつくり、交通インフラを整えたい地域は「準都市計画区域」に指定して規制をかけておく必要がある。

■市街化区域と市街化調整区域

先ほどの「都市計画区域」の中で、より良い都市環境をつくるため、必要であれば、都市計画区域の中を「1.市街化区域」と「2.市街化調整区域」の2つに分けて定めることもできる。このように2つに分類することを「区域区分」と言う。

区域区分をするかどうかは、都道府県が判断する。特に必要がないと判断した場合は、区域区分をしないこともある。

区域区分した「市街化区域」と「市街化調整区域」について簡単に説明しよう。

1.市街化区域
すでに市街地などを形成している区域や、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域のこと。つまり、現在栄えている場所と今後10年以内に栄えさせたい場所なので、不動産投資で注目すべき場所と言える。

2.市街化調整区域
市街化を抑制すべき区域のこと。都市計画区域には入っているが、積極的に市街化はしないため、建物や土地の価値が低くなる傾向にある。また、インフラが整っていないことも多いので、初心者投資家にはハードルが高いエリアだ。

都市計画区域のうち、「市街化区域」と「市街化調整区域」以外のエリアを「非線引き区域」という。

非線引き区域とは、開発する際の許可はとても緩いが、電気や道路など基本的な都市施設が整備されていない区域だ。人が住むことを想定していないため、建物を建てる場合は、ライフラインなどを自分で準備する必要があり、初心者投資家にはかなりハードルの高いエリアになる。

先ほど解説した都市計画の中で「市街化区域」「準都市計画区域」「非線引き区域」に分けられた区域をさらに13の地域に分ける。この13の地域に分けられた部分を「用途地域」と呼ぶ。

用途地域とは、計画的な市街地を形成するために、用途に応じて分けられたエリアのこと。住宅の隣に工場が建っていたり、小学校や公園が特定されたエリアにしか建っていなかったりすると、公害や騒音などで住みにくい場所になってしまう。

そこで、用途地域を定めて、その地域に建てられる建物の種類や高さ、広さなどを規制し、そこに住む人や働く人の環境が快適なものになるよう調整している。

用途地域は「住居系(8つ)」「商業系(2つ)」「工業系(3つ)」の3タイプに分けることができる。

まずは、「住居系」から説明していく。住居系には、下記の8つがある。(1)~(8)は下にいくほど建てられる建物の種類が増える。

(1)第一種低層住居専用地域(一低)
(2)第二種低層住居専用地域(二低)
(3)田園住居地域(田住)
(4)第一種中高層住居専用地域(一中高)
(5)第二種中高層住居専用地域(二中高)
(6)第一種住居地域(一住)
(7)第二種住居地域(二住)
(8)準住居地域(準住)

(1)第一種低層住居専用地域は「低層住宅にかかる良好な住居環境の保護」を目的としている。この地域は建物の高さ制限を厳しく設けているため、住居では3階建て以下の低層住宅しか建てることができない。住居以外で建てられるものは、神社、保育園、診療所、銭湯、図書館、老人ホームなどだ。飲食店などの店舗は、店舗兼住宅の場合は建てることができる(非住宅部分の床面積が50平米以下かつ建築物の延床面積が2分の1未満の場合のみ)。しかし、店舗のみは建てることができない。

(2)第二種低層住居専用地域は「主として低層住宅にかかる良好な住居環境の保護」が目的。第一種低層住居専用地域で建てられる建物に加えて、床面積が150平米以内で2階建てまでの店舗や飲食店も建てることができる。

(3)田園住居地域は、2018年に新しく追加された用途地域で「農業の利便の増進をはかりつつ、これと調和した低層住宅にかかる良好な住居環境の保護」を目的としている。床面積が500平米以下の農産物直売所や農家のレストランなどを建てることが可能だ。

(4)第一種中高層住居専用地域は、「中高層住宅にかかる良好な住居の環境の保護」が目的だ。病院や大学、専門学校なども建てることができる。また、床面積が500平米以下の店舗や飲食店、スーパーマーケットなども建てられる。

(5)第二種中高層住居専用地域は、「主として中高層住宅にかかる良好な住居の環境の保護」を目的としている。2階以下で1500平米までの飲食店や店舗、事務所などの施設も建てることが可能。

(6)第一種住居地域は、「住居の環境の保護」を目的としている。住居だけでなく、3000平米までの店舗や事務所、ホテル、旅館、ボウリング場、スケート場、バッティング練習場などのスポーツ施設を建てることができる。ただ、基本的には住居が主体の地域のため、麻雀やパチンコ、カラオケボックスなどは原則として禁止されている。

(7)第二種住居地域は、「主として住居の環境の保護」を目的としている。1万平米以下の店舗や飲食店、ホテル、旅館、ボウリング場、カラオケボックスなども建てることが可能。

(8)準住居地域は、「道路の沿道としての地域の特性に相応しい業務の利便の増進をはかりつつ、これと調和した住居環境の保護」が目的だ。イメージとしては、大通り沿いに自動車修理工場などが建っている地域のこと。床面積150平米以下の自動車修理工場や床面積200平米以下の劇場や映画館、倉庫業を含む倉庫などを建てることができる。

続いて「商業系」について説明する。商業系は下記の2つだ。

(9)近隣商業地域(近商)
(10)商業地域(商業)

(9)近隣商業地域は、「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業、その他の利便の増進」を目的としている。ここで言う「近隣」とは、「住宅地の近隣」という意味である。この地域では、店舗や飲食店、ボウリング場、劇場や映画館、カラオケボックス、パチンコ店など、ほとんどの商業施設が床面積の制限なく建てることができる。しかし、住宅の近隣であるためキャバクラなどの風俗施設は建てることができない。

(10)商業地域とは、「主として商業その他の利便の増進」が目的。完全に商業が許可され、近隣商業地域で建てられるものに加えて、キャバクラなどの風俗施設も建てることが可能になる。商業地域でも住宅は建てることができ、利便性が高く人気のあるエリアだが、住居地域ではないので住環境については物件購入前に事前にチェックしておきたいところだ。

最後に「工業系」だ。工業系に含まれるのは下記の3つ。

(11)準工業地域(準工)
(12)工業地域(工業)
(13)工業専用地域(工専)

(11)準工業地域は、「主として環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便の増進」が目的。商業地域で建てられる建物のほとんどが建築可能。それと合わせて、危険性がなく環境悪化の恐れがない工場や自動車工場も床面積の制限なしで建築可能となる。住居だけでなく、商業施設や工場なども建てられる地域なので少し騒がしいイメージだ。

(12)工業地域は、「主として工業の利便の増進」が目的。工業色がかなり強くなるが、住居は建築可能。店舗や商業施設については、少しずつ規制が厳しくなっていく。床面積が1万平米を超える店舗や飲食店、ホテル、旅館、カラオケボックス、幼稚園、小学校、大学、病院などが建てられなくなる。しかし、保育園は工場で働く人の子どもを預かる必要があるので建築可能。

(13)工業専用地域は、「工業の業務の利便の増進」が目的。工場の専用地域になるため、住居の建築は不可能。商業施設についてもかなり厳しい規制がかけられており、店舗や飲食店、パチンコ店、ボウリング場などの施設は基本建てることができない。しかし、1万平米以下のカラオケボックスと保育園は建てることが可能。

今回は、「都市計画」と「用途地域」について説明した。重要事項説明時に一度は耳にしたことのある言葉だが、それぞれどのような内容かを改めて理解しておくことで、土地や物件選びの際の指標になるはずだ。

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