2020年に始まったコロナ禍により、場所にとらわれない働き方――テレワークが促進された。参加者が同じ場所に集まらないため、コミュニケーションはビデオ会議で図ることが多くなる。
とはいえ、ビデオ会議中に、相手の声が聞こえづらい、ハウリングする、顔が鮮明に見えないといった課題を抱えがちだ。Webカメラやマイク、スピーカーといった機材がいかに重要かを改めて認識させられる。
そのような中で、医療、エンタープライズ、コンシューマー分野のサウンド関連機器を手掛けるJabraから、会議用ソリューション「Jabra PanaCast」シリーズの新製品「Jabra PanaCast 50」(以下、PanaCast 50)と「Jabra PanaCast 20」(以下 PanaCast 20)が発表された。
それぞれの発売予定日は6月15日と8月1日で、販売価格は15万9500円と3万8500円(いずれも税込み)だ。
発言者を自動でフォーカスする“賢い”Web会議向けカメラ
4月27日にJabraシリーズを展開するGN オーディオジャパンがメディア向けに行った発表会では、PanaCast 50を中心に説明が行われた。
PanaCast 50の別名は「ザ・ビデオバー」だ。その名の通り、サウンドバーとカメラを一体化させたような形状をしている。
PanaCast 50の中央付近に内蔵されているレンズは3つある。それぞれが1300万画素のカメラを備えており、これにより180度のパノラマ4K映像を送信できる。会議室内にいる、全ての参加者の表情を鮮明に映し出せるというわけだ。
もっとも、「今回の会議には1人しか参加していない」「今は2人だけど、後で2人がジョインする」という場合もあるだろう。1人しかいないのに、会議室全体を映し出していては、表情が分かりにくいし見る人に一抹の寂しさを与えてしまう。
しかし、PanaCast 50は単なるパノラマ4K Webカメラではない。AI機能を搭載しており、「賢い」インテリジェントカメラに仕上がっている。そのため、誰かがカメラの前に座ると、その人へとカメラがズームしてフォーカスするが、参加者が増えるとそれに応じて水平方向の画角を90度から120度、140度、180度へと変化するインテリジェントズーム機能を持つ。
複数人が参加しているオフライン会議では、発言者に注目するのが一般的だ。同様に、PanaCast 50は、Virtual Director機能により、会議の状況に応じてフレームを参加者全体から発言者へ、また発言者から発言者へと切り替える。
GN オーディオジャパン ビジネスデベロップメント Managerの加藤昭彦氏は、「簡単に言えば『話者追従』機能だ。PanaCast 50が内蔵する8つのマイクを通じて誰が話しているかをAIが判断し、映像も音声も話者にフォーカス/ズームする。水平方向に180度、垂直方向に約76度(発売までに調整の可能性あり)と画角が広いため、確実に話者を追いかけられるという点が、他社の製品と異なる」と解説した。
最近では、複数人で集まる場合、マスクを装着する必要があるが、そうなると人としては認識しづらくなる。加藤氏は「顔認識で重要なパーツである目と鼻のうち、鼻が隠れてしまっているからだ」と述べつつ、「アゴの下、つまり首の部分まで認識範囲を広げることにより、マスク装着者であっても、カメラが“人”として識別できるように調節した」とポイントを説明した。
また、会議の要でもあるホワイトボードについては、専用アプリケーションの「Jabra Vision」を利用して、会議室内のホワイトボードの領域を設定しておけば、簡単な操作で歪み補正の効いたホワイトボードの画面と発言者を画面に表示することができる。また、「会議終了後はホワイトボードに書かれたものをPanaCast 50がJPEGとして保存する」(加藤氏)ため、打ち合わせ後に見返すのにも便利だ。
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音声はJabraクオリティーを確保
Web会議の悩みの1つが、相手の声が聞き取りづらい、または自分の声が伝わっているのか分からないというものだが、PanaCast 50ではそのような悩みや不安は不要だ。
というのも、Jabraはおよそ150年もの間、サウンドに関わり続けてきた企業であり、GN オーディオジャパン 代表取締役社長 安藤靖氏によれば 「トゥルーワイヤレス部門ではAppleやソニーに追従できる強みを持っているし、ユニファイドコミュニケーション(UC)ヘッドセット市場では、世界ナンバーワンだと言われている」とのことで、音に妥協はないという。
スピーカー部には50mmのウーファーと20mmのツイーターを2基ずつ備え、没入感のあるステレオサウンドを実現しており、ノイズになる振動も抑えている。
8本のマイクは、ノイズキャンセル機能を搭載し、ささやき声やキーボードのタイプ音、エコーといったノイズを排除するよう設計されている。また、電話と同じような双方向通話も可能にした。
PanaCast 50には、カメラを設定するJabra Visionの他、管理用に「Jabra Xpress」が用意されている。これは、JabraのWeb会議ソリューションやヘッドセットに対してファームウェアアップデートを行うなど、一元管理できるソフトウェアだ。
PanaCastシリーズを登録しておけば、管理者はリモートでそれぞれの会議室が使用中であるか、何時から何人が入室しているかなどを確認できる。
特筆すべきは、ライブ イン ルーム ガイダンス機能だろう。これは最近生じているパンデミックへ対応するためのもので、カメラ側で参加者をカウントし、Jabra Xpress側で会議室内が密であるかどうかを判断できる。こちらは状況に応じてオン/オフの切り替えが可能だ。
よりシンプルなPanaCast 20も用意
リモートワーカーが個人で使うことを想定したPanaCast 20は、マイクとスピーカーを省いており、ヘッドセットまたは会議用スピーカーマイクが必要だ。8月発売ということで、まだ細かい仕様は決定していないものの、PanaCast 50と同じようなインテリジェントズームに加え、ピクチャー・イン・ピクチャー機能を搭載する。手元を大きく見せながら、発言者を(TVでいうところの)ワイプで表示可能だ。
4K Ultra HD画質や明るさを調整するインテリジェントライト機能を搭載しており、見栄えのする映像を相手に届けられる。
PanaCast 50、PanaCast 20ともにWindows/Macと接続でき、Microsoft Teams、Zoom、Google Meet、Cisco WebexなどさまざまなWeb会議システムに柔軟に対応する。PanaCast 50はハブを通じて、PanaCast 20は直挿しでプラグ・アンド・プレイで使えるため、わざわざ会議用PCを用意せずに済むところも、Web会議ソリューションの管理を容易にしている。
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発表会の冒頭で、「2020年は、全世界で前年比+42ポイントの成長率、日本でのエンタープライズセールス実績は150%以上の伸びを見せた」と語っていた安藤氏に、PanaCast 50の販売数見込みを尋ねたところ、「個別に数字は明らかにできないが、価格などの関係で初代PanaCastほどの数は見込んでいない。とはいえ、日本の会議室は膨大な数に上る。この働き方がより浸透していけば、予想以上に伸びるのではないか」と話していた。
パーソナル向けのPanaCast 20については、「エンタープライズだけでなくコンシューマーマーケットにも流せると考えている。もっと購入しやすいように、Jabraのオフィシャルショップを立ち上げる計画もある」と教えてくれた。
「今や個人個人のタスクは複雑になっており、調整のためにはコラボレーションが必要だ。パンデミックの影響で、その必要性は加速している。リモートであっても、人と人とがスムーズにコラボレーションし、コミュニケーションを図れるインテリジェントビデオを提供するのがJabraの務めだと考えている。
そして、PanaCastシリーズは会議室でも自宅やカフェ、また教育機関でもそれを可能にする。インテリジェントビデオ、卓越したスピーカーと音、担保されたセキュリティ、プラグ・アンド・プレイといったさまざまなシステムに対応できる柔軟性――この4つを柱としてPanaCastシリーズを、より一層、マーケットに展開をしていきたいと考えている」と、安藤氏はまとめた。
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