Wednesday, June 3, 2020

意外と平常化は近い…/原ゆみこのマドリッド - 超ワールドサッカー!

「実現したら喜ばしいことではあるけれど」そんな風に私が判断に迷っていたのは火曜日、週明けにいよいよリーガ直近2節の時間割が発表されるやいなや、2部のラス・パルマスの会長が「13日のジローナ戦はグラン・カナリアのスタンドの3割にファンを入れて開催したい」と言いだしたと知った時のことでした。いやあ、確かに大西洋のリゾートアイランドであるカナリア諸島では、新型コロナウィルス収束がイベリア半島の一足先を行っていて、来週には警戒状態緩和フェーズ3に突入する見込みなんですけどね。その段階だと、イベントや集会などの人数制限も自治体の判断次第となるため、稼ぎ時の夏に向け、安心して訪れられる観光地としてのアピールも兼ねてのことかと思いますが、いやちょっと待って。だってえ、ほんの少し前までCSD(スポーツ上級委員会)も今年いっぱい、リーガは無観客試合になるだろうと言っていたんですよ。それに応じて各クラブも動き、今季のabonado(アボナードー/年間指定席購入者)への救済策を準備。アトレティコは来季分20%オフやオフィシャルショップで使える商品券を配布するだの、マドリッドの弟分のヘタフェとレガネスは来季のリーガ戦を無料に、レアル・マドリーも月曜にペレス会長がソシオ(協賛会員)に宛てた手紙で近日中に返金や割引など、幾つかのオプションを提示すると言っていたんですけどね。もしマドリッドが遅ればせながらも6月後半にフェーズ3に移行、残り2、3試合には観客を入れることができることになった場合、再び案を練ることになり、観戦できたファン、できなかったファンへと、事務スタッフも対応が大変になるのでは?それより何より問題なのは、「Es diferente jugar a puerta cerrada porque siempre necesitamos a la afición/エス・ディフェレンテ・ア・プエルタ・セラーダ・ポルケ・シエンプレ・ネセシタモス・ア・アラ・アフィシオン(無観客でプレーするのは違っていて、ボクらはいつもファンを必要としているからね)。でもTVの前で応援してくれるのを期待しているよ」(ベンゼマ)と、ほとんどの選手たちがすでに再開しているブンデスリーガでお馴染みになった人っ子1人いないスタンドを覚悟しているにも関わらず、緩和フェーズの進んだ地域にあるチームだけがホームファンの声援を受けられるというのは不公平だということ。いえ、ラ・リーガも中継局と協力して、ファンがスマホから拍手や歓声を送れるアプリを作るつもりのようなんですけどね。それがスタジアムでも聞こえるのかどうかわかりませんし、大体、6度目の延長が決まりそうな警戒事態が終わらない限り、州外への移動はできないとなれば、アウェイ戦に応援に行くことなど不可能。となると、ビジターチームが完全に四面楚歌になりかねませんし、今季残りのホームゲームを収容人数6000人しかない、普段はRMカスティージャ(2部B)が使っているエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノで開催することにしたマドリーなんて、サンティアゴ・ベルナベウの30%なら、2万5000人入れるところが、たったの1800人って、絶対、文句が出ますって。え、彼らのケースはちょっと特殊で、先日はテバス会長がCL、ELの決勝が8月末に行われる見込みなのをスルーして、来季のリーガ開幕を9月12日にしたいと言ったため、更にややこしいことになっているんだろうって?いやあ、このparon(パロン/リーガの中断期間)を利用して、同様にシュタット・デ・バレンシアの改装工事を始めたレバンテなども6月中旬の再開までに終わらず、100km離れたアリカンテにあるラ・ヌシアにほとんどスタンドのないスタジアムを借りたりしているんですけどね。どうやらマドリーは来年まで無観客試合というのを真に受けたのか、サンティアゴ・ベルナベウでは2022年完成予定の開閉型ドーム設置の基盤工事だけでなく、スタンドの下にピッチを折り畳んで収納する設備の工事も開始。

そこへテバス会長が、「9月は入場者をキャパの30%、11月から50%、来年1月から100%に戻したい」という希望を表明したため、最悪でも10月には現在、撤去されているベルナベウのスタンドに人を迎えられる状態にしないといけないことに。まあ、あくまで予定は予定で、実際、リーガの再開は決まったとはいえ、社会全体のコロナ状況が改善していかないと、全ては捕らぬ狸の皮算用にすぎませんからね。緩和フェーズが進むにつれ、早くも先週末には3000人も若者が集まったメガbotellon(ボテジョン/野外での酒盛り)や、制限人数を大幅に上回るフィエスタなど、各地で通報されているため、クラスターによる感染再拡大の危険もまだまだ、無視できないかと。

そしていよいよ、目標とする初戦の時間割も決まったことですし、マドリッドのチームの様子を報告していくことにすると、いえ、皮切りは11日木曜のアンダルシアダービー、セビージャvsベティス戦で、首都ではまず、同日午後10時30分から、昨年12月に前半終了時の0-0で中断となっていたアルバセテ戦を2部の弟分ラージョがプレーするんですけどね。1部で先陣を切るのはヘタフェで12日金曜午後7時30分から、グラナダとのアウェイに挑みます。いやあ、丁度、先週末はバルサのセティエン監督が「Los cinco cambios creo que nos va a perjudicar/ロス・シンコ・カンビオス・クレオ・ケ・ノス・バ・ア・ペルフディカル(選手交代5人はウチに悪影響する)。試合の終盤に相手が疲れたのを利用して勝負をつけてきたのが、フレッシュな選手を投入されてしまうんだから」とコメント。

これに反論していたのがボルダラス監督で、まあ元々、2人はあまり仲が良くないんですけどね。「5人交代できるのは間違いなく、ビッグクラブに有利。Tienen plantillas de nivel muy grande y nivel similar/ティエネン・プランティージャス・デ・ニベル・ムイ・グランデ・イ・ニベル・シミラル(高くて似たレベルの選手層を持っているんだから)」と言っていましたが、バルサは意外とトップチームの人数が少ないですからね。ルイス・スアレスは回復したものの、デンベレが今季絶望で、練習再開初日にはウムティティも負傷という事情を考えると、この3週間、1部の14チームで計28人のケガ人が出ている中、誰1人欠けていないヘタフェはかなり幸運かと。

そんな彼らも火曜にはいよいよ初のCL出場権ゲットに向けて、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで今週から解禁になった全員練習。13日土曜午後7時30分のバジャドリー戦から、降格圏脱出の戦いが再び始まるお隣さんのレガネスも今週は木曜日曜と、2日間をブタルケでのセッションに当てるなど、どこもトレーニングに熱が入ってきたようです。そうそう、アギーレ監督はベンチ入り23人、交代枠5人という、今季の残りのルール変更について、「una decisión fantástica/ウナ・デシシオン・ファンタスティカ(素晴らしい決定)」と喜んでいるようでしたよ。

一方、兄貴分のアトレティコはアウェイが2試合続くせいか、まだワンダ・メトロポリターノには足を踏み入れていないんですが、早いところ、4位以内のシメオネ監督定位置に返り咲かないといけない彼らにはいいニュースもありました。ええ、先週、ヒザを捻ったジョアン・フェリックスがグラウンドでのリハビリトレをスタートしたことで、再開初戦となる14日午後1時(日本時間午後8時)からのアスレティック戦にはどちらにしろ、累積警告で出場できないんですが、17日水曜のオサスナ戦には間に合いそうな感じです。

ヒザの靭帯断裂回復後、補強材を抜く間接鏡手術を受けたベルサイコ、左足を痛めたコレアはまだジムで調整していますが、先日、現役即時引退を発表。土曜にはバルセロナで腰の手術を受けたアドゥリスがリハビリと並行して、チームメートのアドバイザーを務めるサン・マメスでの試合までには戻って来られるんじゃないでしょうか。

そして先週木曜には同じバルデベバス(バラハス空港の近く)の敷地内とあって、選手たちにとって、あまり変化はないんですが、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノでトレーニングしていたマドリーはというと、こちらも月曜から、82日ぶりとなる全員揃っての練習となりましたが、数日間、筋肉痛で休んでいたナチョ、イスコ、バルベルデも合流できたようです。14日日曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)からのエイバル戦に向けて、勝ち点差2の首位バルサを追い越すべく、着々と準備を進めていますが、何せ今は中断期間前にはいなかったアザールとアセンシオという、頼りになるアタッカーが復帰していますからね。

おかげでずっと1人でゴールの責任を担ってきたベンゼマもかなり、気持ち的に楽になるんじゃないかと思いますが、果たしてチームとエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノとの相性は如何に。いえ、ジダン監督はRMカスティージャを率いていた時代に、選手もカセミロ、ルーカス・バスケス、ナチョ、カルバハル、バルベルデ、ビニシウス、ロドリゴと下部チームでプレーしたことがあるメンバーには勝手知ったるピッチなんですけどね。平面的には同じとはいえ、ベルナベウのような威圧感はないため、ホームがイプルアのようなあまり大きくないチームが相手の場合、リラックスされてしまう危険が。

何はともあれ、シーズン再開を前にして、「El mensaje de Zidane es disfrutar y jugar al fútbol/エル・メンサヘ・デ・ジダン・エス・ディスフルタル・イ・フガール・アル・フトボル(ジダン監督のメッセージは楽しんでサッカーをプレーすること)」とベンゼマも言っていたように、2カ月以上、外出禁止でフラストレーションを貯めていたファンが試合を見て、ワクワクできるようになるのは最高の朗報。あとは私もそれまでにマドリッドが緩和フェーズ2に入り、近状のバル(スペインの喫茶店兼バー)で入店制限40%までの席争いを制して、TV観戦できることを祈るばかりです。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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