[シドニー/北京 18日 ロイター] - 太平洋島しょ国を対象とする世界銀行主導の海底通信ケーブル敷設プロジェクトが、中国企業の参加が安全保障上の脅威だとする米国の警告を各島しょ国政府が聞き入れたために頓挫していたことが分かった。関係筋2人がロイターに明らかにした。
関係筋によると、上海市場に上場する亨通光電が過半を保有する華海通信技術(HMNテクノロジーズ、旧社名:華為海洋網絡=ファーウェイ・マリン・ネットワークス=)がこの7260万ドル規模のプロジェクトを巡り、競合のフィンランドのノキア傘下のアルカテル・サブマリン・ネットワークス(ASN)や日本のNECよりも20%以上低い価格で入札に参加した。
「東ミクロネシアケーブル」システムはナウル、キリバス、ミクロネシア連邦の各島しょ国における通信環境を改善するために計画された。
プロジェクトの入札について直接知る立場にあるこの関係筋2人はロイターに対し、華海通信技術の入札参加を巡って島しょ国の間で安全保障上の懸念が強まったため、プロジェクトが行き詰まったと説明。ケーブルは軍事施設のある米領グアムにつながる計画だった。
関係筋の1人は「入札者の1社としてファーウェイを排除する具体的な方法がなかったため、全3件の入札が不適合と判断された」と述べた。華海通信技術は落札に有利な立場にあったという。
世界銀行はロイターに対し、次のステップに向けて各国政府と協力していると説明。「入札資料の要件に対応していなかったため、この手続きで落札者はいなかった」としている。
中国外務省の報道官はロイターに宛てた声明文で、あらゆる当事者は中国を含む全ての国の企業が参加可能な差別のないビジネス環境を提供すべきだと訴えた。
華海通信技術と親会社の亨通光電には電子メールで質問したが、回答は得られなかった。電話に出た華海通信技術の担当者はコメントを避けた。
ASNの広報担当者はロイターに対し、秘密情報にコメントする権限が自社にはないと述べた。
NECからは質問への回答を得られなかった。
ナウル、キリバスの代表部からは質問への回答を得られなかった。ミクロネシア連邦の政府報道官はプロジェクトに関するコメントはできないと述べた。
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