運用成績に優れる低コストのアクティブファンドに注目したい。アクティブファンドでは、銘柄調査・選択などポートフォリオ構築にかかる手間がファンドによって異なるため、信託報酬にも差がある。信託報酬の差が運用成績に直結するパッシブファンド(同じインデックスをベンチマークとする場合)と違って、高コストであってもそれに応じたリターンを獲得できていれば良いと言えなくもない。とはいえ、手間をかけた高コストファンドが良好な運用成績を挙げる保証はなく、投資家からすれば、将来のリターンを確実に押し下げる信託報酬は低いにこしたことはない。運用成績は過去のものであるが、一定の期間にわたって良好な成績を挙げてきた点は評価できる。
国内株式、国際株式に投資するアクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、及びETF除く)について、21年9月末時点のモーニングスターレーティングが「5ツ星(★★★★★)」、モーニングスターフィーレベルが「安い」に該当する純資産残高10億円以上のファンドを抽出した。
モーニングスターレーティングは、運用期間3年以上のファンドを対象に、リスク調整後リターンがその属するモーニングスターカテゴリー内でどの水準にあるかを5段階で表したもので、5ツ星は最も運用効率が優れていることを示す。フィーレベルは、「国内株大型・アクティブ」や「国内株大型・パッシブ」といったように、投資対象資産とアクティブ、パッシブによってカテゴリーを設け、個別ファンドの信託報酬がその属するカテゴリー内でどの水準にあるかを5段階で表したもの。「安い」は最も低コスト水準であることを示す。 国内株式アクティブファンドでは、規模(大型・中型・小型)と投資スタイル(グロース、バリュー、ブレンド)からなる全9カテゴリーを対象とした。条件を充たすファンドは9ファンドあり、残高上位3ファンドは、「年金積立Jグロース」(愛称:つみたてJグロース)、「コモンズ 30ファンド」、「利益還元成長株オープン」(愛称:Jグロース)となった。「年金積立Jグロース」と「利益還元成長株オープン」はマザーファンドを同一とするファンドで、財務基盤、経営能力、事業環境、競争力などの観点から、成長性が高く株主への利益還元が期待できる企業に投資する。「コモンズ 30ファンド」は、収益力、競争力、経営力、対話力、企業文化という5つの評価軸から厳選した30社程度に長期的に投資する。「年金積立Jグロース」と「コモンズ 30ファンド」はつみたてNISAの対象ファンドでもある。
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