日本原子力発電東海第二原発(東海村)の三十キロ圏内の有床医療機関や入所型社会福祉施設で、原発事故に備えた茨城県の広域避難計画に基づく避難計画の策定が進んでいない問題を巡り、大井川和彦知事は二十六日の記者会見で、全施設の計画が策定されなければ「実効性ある広域避難計画」が整ったとは認められないとの認識を改めて示した。
知事は従来、広域避難計画の実効性の担保が東海第二の再稼働に事前同意するかどうかを判断する前提になると説明してきた。二十日の県議会予算特別委員会では、「実効性」には「全ての施設で避難計画が策定されることが必要」と答弁。この日の会見でも「答弁した通り」と明言し、未策定施設に対しては「県としてもしっかりサポートしていきたい」と述べた。
ただ、会見で知事自身も「非常に難しい部分がある」と指摘したように、計画策定が進まない大きな要因は、入院患者や入所者らの避難に必要な救急車や福祉車両を確保するのが困難なことにある。策定済みの県立中央病院(笠間市)や東海村立東海病院などの計画でも、必要と試算する延べ台数に対し、保有台数は大幅に不足している。
現実的な計画策定は不可能だと結論付ける可能性について問われた知事は、「実行できるように計画を作っていくのが私どもの仕事だ」と答えるにとどめた。全施設で策定を終える時期については「見通しは立っていない」とした。
東海第二原発で事故発生時に屋内退避や避難が求められる三十キロ圏内では、有床医療機関(百十九施設)の約三割、入所型社会福祉施設(四百八十六施設)の六割弱しか避難計画を策定できていない。策定済みの施設でも、必要車両の確保などが課題となっている。(保坂千裕)
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