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イスラエルが占領するヨルダン川西岸で14日、イスラエル軍とパレスチナ人が衝突し、少なくともパレスチナ人10人が死亡、数百人が負傷した。イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの交戦が激化する中、ユダヤ人とアラブ系市民の対立も広がっている。
ヨルダン川西岸の多くの市や町では14日、イスラエルに抗議するパレスチナ人とイスラエル側が衝突。イスラエル軍は催涙ガスやゴム弾、実弾を使用し、パレスチナ人は火炎瓶を投げて応戦した。
この衝突で少なくともパレスチナ人10人が死亡し、数百人が負傷したと報告されている。
ヨルダンとレバノンのイスラエル国境では、パレスチナ人を支持する抗議活動が行われた。抗議活動中にイスラエルの砲撃を受けた男性1人が死亡したと、レバノン国営メディアは伝えた。
東エルサレムの緊張悪化を機に10日から続く交戦は激しさを増し、2014年以降で最悪となっている。これまでにガザ地区では少なくとも126人、イスラエルで8人が死亡している。


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イスラエル軍は14日、「メトロ」と呼ばれるハマスの地下トンネル網を破壊する作戦を13日夜から実施したが、ガザ地区に踏み込んではいないと説明した。
一方のハマスは13日夜から14日朝にかけ、ガザ地区からイスラエルに向けて約220発のロケット弾を立て続けに発射した。イスラエル南部アシュドッドでは、シェルターに向かっていた女性(87)が死亡した。アシュケロン、ベエルシェバ、ヤヴネの各市もロケット弾の標的にされた。

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ガザ地区の保健省は地区内の死者について、子ども31人を含む多数の一般市民が含まれているとしている。また、これまでに950人が負傷したという。
一方、イスラエルは、ガザ地区で死亡した多数は戦闘員だと主張。ハマスによるロケット弾の誤射が原因の死者もいるとしている。
国連の14日の発表によると、交戦が始まった10日以降にガザ地区から避難したパレスチナ人は推定1万人に上る。
「恐ろしい映画のよう」
イスラエルではユダヤ人とアラブ系市民の対立も激化しており、ルーベン・リブリン大統領が内戦の危険性を警告する事態となっている。ベニー・ガンツ国防相は治安部隊による取り締まりを強化し、400人以上が拘束されている。
イスラエルの警察は、多くの衝突でアラブ系市民が原因になっていると説明。ユダヤ人の若者グループがアラブ系市民の住居を次々と攻撃するのを警察が黙認しているという批判は、当たらないと主張している。
ガザ地区のイスラエルとの境界付近では、イスラエル部隊の侵攻を恐れるパレスチナ人住民らが避難を進めている。ガザ地区のシュジャイヤから逃れた住民は、自宅に砲弾が落ちてきたと証言した。
「恐ろしい映画のようだった」と、家族とともに砲撃を逃れた地元住民のサワル・アル・アッタル氏は述べた。「航空機が上空を飛び交い、地上では戦車の砲撃があり、私たちは動けなかった。子どもも女性も、男性もみんな悲鳴をあげていた」。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は14日朝の声明で、ガザ地区への軍事行動を「必要な限り」続けると表明。ハマスについて、ほかの「テロリスト集団」と同様に大きな代償を払うことになると付け加えた。
イスラエルは13日、ガザ地区との境界付近に、歩兵部隊2隊と機甲部隊1隊を追加配備。また、陸軍の予備兵7000人以上を招集した。また、地上部隊をガザ地区内に進めることを検討しているとした。
一方、ハマスの広報担当は、イスラエル軍の地上部隊がガザ地区に侵攻してきた場合は、同軍に対して「厳しい指導」を実施する準備があると述べた。
国際社会は自制求めるが
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は14日、「ガザ地区とイスラエルにおける敵対行動の即時沈静化と停止」を求めた。
こうした声は、イスラエルの同盟国アメリカを含めた各国からも出ている。しかし、交戦が鎮まる気配はない。

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ハマス幹部は、国際社会がイスラエルに対し、エルサレムのアルアクサ・モスクでの「軍事行動をやめるよう」圧力をかければ、それに応じて停戦する用意があると表明した。
しかし、イスラエルのマーク・レゲヴ首相府報道官はBBCに対し、国際社会がイスラエルに自制を求めるのは見当違いだと述べた。
「我々はこんな争いは望んでいなかったが、争いが始まった以上、持続的な静寂の中でそれを終わらせなければならない」とレゲヴ氏は述べた。「そのためには、イスラエルがハマスの軍事組織と指揮系統を取り除くしかない」。
交戦の経緯
今回の攻撃の応酬は、東エルサレムで数週間にわたり、イスラエルとパレスチナの人々の間で緊張が高まっていたことが背景にある。イスラム教とユダヤ教の両方にとって聖地とされている場所で、衝突が起きていた。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来、東エルサレムを占領し、エルサレム全体を国の首都としている。しかし、国際社会の大半はこれを認めていない。
一方のパレスチナ自治政府は、東エルサレムが、将来建設する国家の首都になるとしている。
近年では、イスラエルとパレスチナが領有権を争う東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で、イスラエル人入植者がパレスチナ人の住人に立ち退きを迫っていることから、双方の緊張が高まっている。

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