[22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、FRBはテーパリング(量的緩和の縮小)を近く開始すべきだが、雇用が過度な低水準になおどとまっているほか、来年には新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によるインフレ圧力が弱まり、高インフレが緩和される可能性があるため、まだ利上げすべきではないと述べた。
国際決済銀行(BIS)・南アフリカ準備銀行(中央銀行)のオンライン会合で「テーパリングの時期だと思うが利上げのタイミングではない」とし、労働市場の回復を忍耐強く待つことができるとした。
また「供給上の制約とインフレ高進は従来の想定よりも長く続く可能性が高く、来年も継続するだろう。賃金への圧力についても同様だ」と指摘。最も可能性が高いのはインフレ圧力が弱まり雇用の伸びが夏季に見られたペースに戻るというシナリオだが、「インフレが持続的に高進するリスクがあると判断すれば、確実にツールを活用する」とした。
その上で、供給網の目詰まりが予想通りに緩和し、サービス部門がより完全に活動を再開して雇用の伸びが加速すれば、FRBが担う責務の一つである完全雇用が来年にも達成される可能性は「大いにある」と述べた。
ただ、物価上昇が根強く継続すればFRBは「確実に」行動を起こすと表明。「FRBの政策は、想定される多様な結果に対応できるようになっている」とし、「経済が予想通りに展開しているかどうか注意深く見守り、それに応じて政策を適応させる必要がある」と語った。
FRBは、インフレを制御するために利上げを実施し、その結果として雇用回復が阻害される事態を懸念している。パウエル氏は、現在はそうした状況にはないとの見方を示しながらも、FRBが担う二つの責務の間に緊張がみられていることは示唆。「現在、リスクは明らかにより長期的で根強いボトルネック、ひいてはインフレ高進に傾いている」としながらも、供給網の問題の解消に向けた時間を確保するために、FRBはこのインフレ高進を「看過」する必要があると述べた。
パウエル氏は「テーパリングの時期が近いとはいえ、堅調な雇用の伸びへの回帰と供給上の制約緩和により米経済の潜在的な生産量の拡大効果が期待できる十分な理由があるにもかかわらず、雇用の伸びを鈍化させる意図と効果を合わせ持つ政策金利を用いた引き締め政策を現時点で実施するのは時期尚早だ」とした。
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