がんに次いで死亡率の高い疾患として知られる、心疾患。働き盛りを襲う突然死の半数以上が心臓のトラブルによるものとあり、その主要な原因である「狭心症」の予防は、高齢世帯はもちろん、若年層においても特に注意が必要です。今回はニューハート・ワタナベ国際病院の渡邊剛(わたなべ ごう)院長が、その症状の概要や、注意すべきリスク因子や検査・治療方法について解説します。
【1】狭心症とはどんな病気?
狭心症とは、心臓を栄養する冠動脈という血管が狭くなり、心臓を動かす筋肉(心筋)に十分な酸素や栄養分が届かなくなる病気です。冠動脈は3本あり、詰まった箇所が多いほど重篤です。
■狭心症と心筋梗塞の違い 狭心症によく似た病気に心筋梗塞があり、違いは表のとおりです。 血管が塞がってしまい酸素と栄養分が届かないと、詰まった先の心筋が壊死してしまいます。壊死した心筋は再生しないので、心筋梗塞のほうがより危険です。また、狭心症ではない人が突然心筋梗塞を起こす場合もあります。
■狭心症の種類 狭心症には大きく3つの種類があります。 1.安定狭心症 階段を上がったり、重いものを持ったり、運動をしたり、心理的なストレスを受けたりしたときに、胸に痛みや圧迫感を感じます。力仕事や運動をしたり、ストレスを感じたりすると、それに応じて、体内にたくさんの血液を送り出そうと心筋が活発に働き始めますが、血管が細っていて血液供給が追いつかず、胸の痛みなどの症状が出るのです。毎回、ほぼ同じ程度の運動やストレスで生じます。 2.不安定狭心症 安定狭心症と違い、痛みが強くなる、発作の回数が増える、少しの動作や安静状態でも発作が起こるといった、痛みのパターンが変化します。それまで症状が安定していた人にそうした変化が現われたら、冠動脈が急速に狭まりつつあることを示している可能性があるので危険です。すぐに救急車を呼ぶか、早くかかりつけの病院を受診してください。 3.異型狭心症 夜、寝ているとき(特に明け方)や、昼間、安静にしているときに、胸痛発作を起こします。多くの場合、冠動脈が一時的に痙攣を起こして収縮し、血流を途絶えさせることによって起こります。大した動脈硬化がないのに起こることがあります。
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