【パリ=山田真也】2024年夏に開催予定のパリ五輪に向け、フランスの国際的な空の玄関口、シャルル・ドゴール空港からパリの市街地まで「空飛ぶタクシー」を飛行させる計画が進められている。電動の垂直離着陸型機を軸に検討されており、車で40~50分程度の距離を約15分に短縮できるという。開発関係者は、30年に複数経路で常時運航することを目指している。
計画は同空港を運営するADPグループと、地下鉄などを運航するパリ交通公団(RATP)、広域自治体の「イル・ド・フランス地域圏」などが中心となり、「持続可能な都市型の新しい航空移動手段」を掲げて開発を進めている。欧州の航空機関連企業などの民間企業数十社もこのプロジェクトに参加している。
25日にはパリ北西の空港で、試験飛行などを行うテストエリアの開所式が行われ、試験用の空飛ぶタクシー(2人乗り)などが報道陣に公開された。機体の上部には小さなプロペラがたくさん付いている。この機体をベースに今後、新しい機体の開発を進め、課題となる安全性や騒音のテストなども行う予定だ。
パリ五輪ではまず、シャルル・ドゴール空港からパリ市街地まで約23キロ・メートルの区間で、数人の乗客を乗せて運航することを目標とし、機体は来年頃の完成を目指している。道路の交通渋滞を避けられるほか、電動にすることで環境にも配慮する。今後、具体的な飛行ルートの検討を進める。
開所式に参加したADPグループの幹部は「低高度を飛ぶ都市型の新たな航空交通は、航空技術の歴史に新しい一ページを刻むことになる。脱炭素化のための解決策にもなる」などと語った。
パリ五輪後、本格運用を見込む30年からは、複数の飛行経路で運航したい考えだ。乗客が6人程度乗れる機体での運航を目指しており、料金は1人100ユーロ(約1万3000円)程度を想定しているという。
空飛ぶタクシーの開発は各国で活発化している。昨年1月に米ラスベガスで開かれた展示会では、米ヘリコプター製造大手のベルが、「空飛ぶ車」の試作機を持ち込んだ。韓国の現代自動車のほか、独アウディや英ロールス・ロイスも開発構想を持っている。
日本でも新興企業のスカイドライブ(東京)が10月、「空飛ぶクルマ」を使ったタクシーの事業化に向け、実証実験を行った。
パリ五輪での運航を目指すフランスの政府関係者は「五輪でフランスの技術力を見せたい」と意欲を見せる。
からの記事と詳細 ( 「空飛ぶタクシー」飛行計画、パリで進む - 読売新聞 )
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