中東で核開発が拡散すれば、世界全体を脅かす。その危機を防ぐために2015年に結ばれたのが、イラン核合意だ。
米トランプ政権が一方的に離脱したことで機能不全に陥ってから3年半が過ぎた。行き詰まりを早急に打開することは国際社会にとって急務といえる。
あさって29日に、合意を再生するための話し合いが5カ月ぶりに開かれる。米国とイランのほか、合意に署名した英独仏と中ロがウィーンに集まる。
4月から断続的に開かれていたが、6月にイランで大統領選があったため中断していた。選挙の結果、国際融和をめざす政権から保守強硬派に変わったことで先行きが心配されただけに、再開を歓迎したい。
6月までの協議では一定の前進があったとされる。政権交代を理由に、その積み重ねを白紙に戻してはならない。米国とイランの主張にへだたりはなお大きいが、地域の安定のため歩み寄りを模索して欲しい。
イラン側は、トランプ政権が科した制裁すべての一斉解除を求めている。確かに国連安保理が決議で支持した合意を踏みにじった米側に非があるのは明らかだ。だが、制裁は1500件にのぼるとされ、手続き上も現実的ではない。
一方、イランは制裁に対抗して、合意から逸脱した措置を続けている。今では上限をはるかに超える濃縮度60%のウランを17キロ以上も貯蔵しており、深刻な水準だ。国際原子力機関の査察へも制限を強めている。
合意を守っていれば、万一、核兵器を製造しようとしても1年かかる。だが、いまやその時間は1カ月まで縮まったと指摘する専門家もいる。
危機をあおって米側から譲歩を引き出そうという戦術だろうが、危うすぎる。これ以上、核開発を拡大すれば、イランと敵対するイスラエルが核施設を攻撃するなど不測の事態も生じかねない。
バイデン米政権は、可能な範囲で制裁を解除し、イラン側はそれに応じて、行き過ぎた核開発を元に戻していく。こうして段階的に合意を正常な軌道に戻していくことが大切だ。
米国は核問題に加え、イランのミサイル開発や、中東各地での武装組織への支援についても制限したい考えだ。だが、米国が制裁を続けるなかでこれらの懸案を取り上げようとしても反発を招くだけだろう。
まず核合意を立て直すことが先決だ。制裁解除でイランが経済的な実利を得ることで信頼を醸成することが次の段階につながる。一足飛びでなく、粘り強く妥協点を探る努力が双方に求められる。
からの記事と詳細 ( (社説)核合意の再生 米イラン双方が妥協を:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
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