Wednesday, October 20, 2021

ノーベル賞学者の「KAGRA計画」 重力波の検出は事実上、不可能に - 文春オンライン

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 ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章氏(62=東京大学宇宙線研究所所長)が研究代表者を務める「大型低温重力波望遠鏡KAGRA計画」。今年6月末、目標としてきた数値を大幅に引き下げ、事実上、重力波の検出が不可能になっていることが「週刊文春」の取材でわかった。KAGRA内部の会議音声などを入手した。

完成式典でボタンを押しているが…… ©共同通信社

 旧神岡鉱山(岐阜県飛騨市)の地下に建設されたKAGRAは、重力波を捉える装置で、昨年2月から本格的な観測を始めた。

「重力波とは、非常に重い天体が加速度運動する際に生じる時空の歪み。観測することで宇宙の成り立ちやビッグバン発生のメカニズムなどを解明できるとされます」(科学部記者)

 2012年に〈世界の学術研究を先導する画期的な成果を挙げる大型プロジェクト〉として、文科省の「大規模学術フロンティア促進事業(2013年度~2022年度)」に採択されたKAGRA計画。以降、日本学術会議が3年ごとにまとめるマスタープランを踏まえ、文科省がロードマップを策定してきた。

O3で8~25MPcを目指す(19年版のシナリオペーパー)

 文科省研究振興局によれば、投じられた税金は建設費164億円、運営費26億円。計190億円に及ぶ。

 KAGRAはこれまでシナリオペーパーで、欧米の研究機関と共同で行う〈O4観測(第4期観測)〉で、〈25~130MPc(メガパーセク)〉の感度を達成することを掲げてきた。

「シナリオペーパーは、予算申請にも活用される最重要論文です。いわば、実際の重力波観測に向けた工程表。毎年、米国の研究機関LIGOのHP上で最新版がアップされ、学術雑誌に掲載されます」(KAGRAの研究者)

 O4観測は、直近のシナリオペーパーを提出した2020年9月時点では、「2022年1月~2023年1月」の期間を予定していた。その後、コロナ禍もあって、「2023年8月~」に先送りになっている。

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