熊本県の蒲島郁夫知事は18日、熊本空港(益城町)とJR三里木駅(菊陽町)を結ぶ空港アクセス鉄道計画に関し、約9キロの最短ルートの事業費459億円(税別)が、最大で24億円圧縮できるとする追加調査の結果を明らかにした。県はこれまで四つの整備案を示していたが、このルートを軸に検討を進める方針だ。
最短ルートは、同駅周辺の市街地を地下トンネルで通過し、熊本市東区の県民総合運動公園付近に中間駅を設置する案。他の案に比べて距離が短いため、比較的費用が抑えられるほか、トンネルにすることで建物が密集した駅周辺を高架で整備するより用地交渉がスムーズに進むとみている。
事業費の圧縮は、一部区間の曲線を小さくして線路を短くしたり、トンネルの工法を見直したりした。圧縮幅が最大なら事業費は435億円になるが、当初の概算よりは55億円多い。
1日当たりの利用者数も精査。運賃の負担感や乗り換えに伴う抵抗感などを需要予測モデルに反映した結果、前回の7500人から5千人に減った。
移動時間の短縮や鉄道の定時性といった効果を考慮した結果、費用対効果を示す数値は投資に見合う「1」を上回ったとした。
事業の採算性は現行の補助制度(国が事業費の18%を負担)では採算が見込めず、補助額を3分の1まで引き上げるよう国に求める考え。蒲島知事は「アクセス改善だけでなく新たな観光ルートや企業集積などの効果が期待される。財政支援など国に特別な配慮を要望する」とした。
県議会一般質問で、自民党県議団の内野幸喜氏(玉名郡区)に答えた。
アクセス鉄道について県は昨年6月、事業費など四つの整備案の調査結果を提示。その後、事業費の圧縮や費用対効果について追加調査していた。(内田裕之)
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