
高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチン接種の7月末完了に向け、兵庫県内の市町が接種計画の変更を迫られている。菅義偉首相が完了時期を「7月末」と掲げ、総務省などは12日、県内全41市町が「7月末完了」の見込みとして発表した。しかし、高齢者接種の前倒しに要員や施設、接種会場などの課題が山積しており、実現は見通せていない。
「7月末にどれだけの接種が終わっているか、全くの未定」
丹波市では、65歳以上の高齢者が約2万2千人いる。1カ月に約1万回の接種で、遅くとも9月末までに完了する計画だった。国の要請を受け、計画を組み直し始めたのは5月に入ってからだ。
具体的な対策として、土曜日の集団接種を2時間延長し、進み具合によっては日曜日の開催も検討。新たに病院などでの個別接種も考える。ただ、先行自治体では病院に人が押し寄せ、協力を得られるかは分からない。
地元医師会と調整し、さらなる医師や看護師の確保を目指すが、「地域医療を止められず、無理は言えない」と担当者は悲鳴を上げる。「どうすれば2カ月も前倒しできるか。走りながら努力するしかない」
65歳以上の対象者が8万3千人を数える明石市は、個別接種を基本に、5月末から最初の1週間で6300回、次週から1万2600回の接種を行い、8月末で完了する計画だった。
前倒しには、8月に接種予定だった約5万回分を、集団接種を中心に6~7月に増やす必要がある。だが、最大の課題は人材確保。同市は、東京と大阪で始まる自衛隊による集団接種を政府に求めているが、全国3カ所目の会場が明石市に開設される可能性は少なく、同市の担当者は「せめて医療従事者らの人的支援をしてもらわないと前倒しは難しい」とする。
また、尼崎市は対象者約10万人の接種を想定する。集団接種で3万人に、個別接種で7万人に対応する計画で、どちらも8月中旬から下旬までの完了を見込んでいた。
集団接種は前倒しできそうだが、個別接種は、逆に当初の見込みより遅れると医療機関から聞かされている。そこで隣接する大阪市に設けられる国の大規模接種会場も積極的に案内する予定だが、どれだけの市民が足を運ぶのかは読めない。担当者は「医療機関などで接種が進むよう、国に人的、財政的な支援をしてほしい」と求める。(高田康夫、小谷千穂)
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