2021年01月28日07時07分
インド洋の島国スリランカから着任したばかりのサンジーブ・グナセーカラ駐日大使(55)が、時事通信の単独インタビューに応じ、日本が参加予定のコロンボ港の新ターミナル建設計画について「できる限り早期に開始する」とスリランカ政府の方針を明らかにした。両国は2019年5月、計画に関する協力覚書を結んだが、2年近く棚上げ状態が続いていた。大使は事業実施を明確にすることで、日本重視の姿勢を示した。
東京都港区の在日スリランカ大使館で21日、語った。スリランカが日本で「親中派」と目されていることについて、大使は「私の最優先の役目は、何らかの誤解があるとしたら、それを解消することだ」と指摘。さらに「スリランカ国民の94%は日本が大好き。一番人気の国は日本だ」と強調、中国一辺倒ではないと訴えた。
その上で、ターミナル計画の遅れに関して「昨年は新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の中で、スリランカも観光収入が9割、輸出と海外からの送金がそれぞれ4割も減少し、深刻な外貨不足に陥った」と説明。「金のかかるあらゆる事業を見直していた」と述べた。
計画されているのはコロンボ港に新たに東コンテナターミナルを建設する事業。スリランカが51%、日本とインドの民間企業が残る49%を出資する。大使は「日本と密接な関係を築きたい。支援してほしい」と呼び掛けた。
スリランカは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に協力してきた。しかし、多額の対中債務を抱えてインド洋のシーレーン(海上交通路)沿いの南部ハンバントタ港を99年間中国企業に貸し出すなど「債務のわな」にはまったとみられている。
対日関係では昨年9月、日本の支援によるコロンボ市内の次世代型路面電車(LRT)計画も中止されていた。
グナセーカラ大使は米国で36年間暮らしていた。不動産業で成功した実業家でもある。
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