静岡大は29日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革新的衛星技術実証プログラムに採択された計画の内容について、「宇宙デブリ(ごみ)」の捕獲技術を実証する新たな超小型人工衛星「STARS-X(スターズエックス)」を開発すると正式に発表した。これまでの静大衛星の知見を生かしつつ、ごみを捕まえる網を衛星から宇宙空間に放つという新機能が加わる。世界初の宇宙デブリ捕獲技術確立と、宇宙でのリサイクル事業創出という構想も見据える。
スターズエックスは重さ約50キロ、大きさ50センチ角で開発する。長さ1キロのひもと、ごみ捕獲への応用を見込む網や大きさ10センチ角程度の小型ロボット、模擬デブリなどを内蔵。2022年5月にJAXAに引き渡す予定で、早ければ同年中にもJAXAのロケットで他の企業、団体の超小型衛星などとともに高度500~600キロの軌道上に打ち上がる。
宇宙空間放出後は、2機体に分離して内蔵のひもを伸ばし、小型ロボをひも上で動かす。片方の機体から網と模擬デブリを放つ。実際の宇宙デブリではなく、模擬デブリを網で捉えられるか試す。小型ロボは直接の捕獲には関わらず、高速で移動する宇宙デブリに燃料を使わずに近づくという安価な除去技術への応用につなげる。
静大衛星はこれまで、5機中4機が人や物資を宇宙に運ぶ「宇宙エレベーター」構想実現に向けて開発、運用された。1辺10センチの立方体1~3個で構成し、エレベーターケーブルに見立てたひもの進展などの実証を重ねた。スターズエックスはこの知見を生かす。
宇宙デブリは人工衛星などへの衝突で大きな被害を出す長さ1センチ以上の物で50万個以上あるとされ、世界的な課題。開発を主導する工学部の能見公博教授は「これまでの技術を統合し、より大きなプロジェクトを必ず成功させる」と話した。
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