鬼怒川が氾濫し逃げ遅れが相次いだ2015年9月9日の関東・東北豪雨の反省から導入された防災行動計画「マイ・タイムライン」を、茨城、栃木両県の鬼怒川流域周辺で住民約2万2000人が作成したことが分かった。国土交通省下館河川事務所が3月時点で集計した。豪雨から5年が経過し、日本各地での水害多発も踏まえ、対策のさらなる進展が求められる。
◆5年前の教訓…市の対応後手に
5年前、台風18号や前線の影響で広域が豪雨に見舞われ、鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市では市全域の約3分の1が浸水した。流された住宅の屋根で救助を待つ家族。濁流にのまれそうになりながら電柱にしがみついた男性。ヘリコプターで救助された住民は約1300人に及んだ。決壊後の水流が激しく、市の避難指示も一部地域で決壊後となるなど後手に回った。
被災後、市は行政としての「タイムライン」を作成。気象情報や河川水位などに連動し取るべき対応を練り直した。さらに、下館河川事務所や他の流域市町などと構成する協議会でマイ・タイムラインを16年に考案。川から自宅の距離や家族構成などを基に、いつどのように避難するか住民単位で決めておく行動計画作りで、今や全国的に普及が進む。
◆2017年から住民向けの講座重ねる
協議会は住民向けの作成講座を17年から約200回重ねた。小中学校の防災訓練でも取り入れ、鬼怒川上流域の栃木県内11市町、下流域の茨城県内13市町を中心に作成者は2万2000人を超えた。他の市民に作成を指南するリーダー役も育成し、約280人が認定された。4月以降に作成した人や、流域住民以外も含め自発的に作成した人もいるとみられる。
ただ、西日本豪雨や昨年の台風19号など過去の統計を上回る豪雨が続発しており、避難場所やタイミングのシナリオが崩れる恐れは否めない。今月の台風10号では、新型コロナウイルスの影響で避難所の収容人数が制限され、移動を余儀なくされた避難者も続出した。
下館河川事務所の永井一郎調査課長は「計画を一度作ったら安心ではない。足りないものを考え、常に更新していく必要がある」と指摘する。
◆「逃げ遅れゼロ」目指し普及進む
防災行動計画「マイ・タイムライン」は台風の接近などで河川水位が上昇するときに、取るべき標準的な防災行動を時系列で整理しておく試みだ。5年前の関東・東北水害をきっかけに「逃げ遅れゼロ」を目指して作られ、国や各地の自治体が普及を進めている。
作成の第一歩はリスクの正確な把握だ。自治体が公表するハザードマップなどから自宅や職場などの危険度を分析。高齢者、ペットの有無といった家庭環境も考慮しておく。
こうした条件から時系列の対応を精査する。例えば、台風が近づく3日前ほどから進路をチェックし、持ち出す食料や常備薬を準備。赤ちゃんがいればミルクやおむつもリストに入れておく。2日前から半日前には、停電に備え携帯電話を充電し、避難所の場所やルートを念入りに確認。避難のタイミングも検討し、高齢者がいる場合はより早めを心掛ける。
国土交通省は6月、自治体向けに講習会の手引を公表し、簡単にタイムラインを作成できるホームページを設けている自治体もある。
関東・東北水害 2015年9月9日に上陸した台風18号や前線の影響で、関東・東北地方を中心に広範囲に及んだ豪雨災害。宮城、茨城、栃木3県で計8人が死亡し、茨城県常総市では13人が災害関連死と認定された。同10日に堤防が決壊した鬼怒川流域の常総市は、市全体の約3分の1に当たる約40平方キロが浸水。市役所庁舎も水に漬かり、5000棟以上が全半壊した。国土交通省は本年度末までを目途に、鬼怒川で堤防のかさ上げや拡幅などの緊急対策を進めている。
(共同)
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