
岸田氏は「分配なくして次の成長はない」と主張しており、教育費や住居費の支援、(介護士や看護師など公的な業務を想定しているとみられる)賃上げなどを通じて国民の所得を増やし、これを消費拡大の原動力にすると説明している。しかしながら、一連の支援を実施するためには原資が必要となる。総裁選当日に行われた記者会見で、「分配が成長につながるメカニズムとその原資」について質問された岸田氏は、「成長の果実が一部の人にとどまっている」「格差を是正することで消費を拡大できる」と述べ、少々矛盾した回答を行っていた。 「成長の果実が一部の人にとどまっている」ということはすでに成長を実現しており、その富を一部の国民が独占していることが問題ということになる。これは米国で見られる上方向の格差なので、富が集中しているところに課税すれば原資は容易に捻出できる。 だが今の日本はそうではなく、成長そのものが実現できておらず、経済の貧困化によって格差が拡大している。介護士や看護師など公的職業の年収を大幅にアップさせたり、教育支援や住居支援を手厚くすることで消費を喚起したいのであれば、当然、財源が必要となる。岸田氏もこのことはよく分かっているはずであり、今の状況で増税を言い出すことはできないため、成長に期待するというロジックにならざるを得ないのだろう。 ■ 池田勇人は完璧な政治家だった 岸田氏としては、成長するための仕組みが「令和版所得倍増計画」ということになるのだが、このキーワードはあまり意味をなさない可能性が高い。その理由は、池田氏がかつて提唱した所得倍増計画の中には、所得を倍増させる具体的な施策は存在していなかったからである。つまり岸田氏にとって、参考にする施策がないというのが現実なのである。
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