全便運休を受けて大量に駐機するタイ国際航空機(17日、バンコクのスワンナプーム空港)=小高顕撮影
【バンコク=村松洋兵】タイ政府系のタイ国際航空と欧州エアバスが、タイ東部に共同で予定した航空機の修理・整備拠点の建設計画が白紙になったことが23日分かった。エアバスは、提出期限の20日までに合弁計画案を提出せず、撤退を決めた。タイ航空は今後、新たな合弁相手を探すことになる。もともと業績不振のタイ航空は新型コロナウイルスが追い打ちとなり経営危機に陥っている。タイ政府は月内にも支援策をまとめるが、同社の再建は一段と不透明になってきた。
タイ航空とエアバスは2017年、タイ東部のウタパオ空港に、航空機の修理や整備を手掛ける「MRO拠点」を設置することで合意した。アジア各国の格安航空会社(LCC)などから整備を請け負い、拠点周辺を「航空都市」とする構想を描いた。総事業費は106億バーツ(約350億円)。両社とタイ政府が分担する官民連携方式としたが、契約条件を巡り交渉が難航していた。
エアバスは撤退理由を明らかにしていない。新型コロナの影響で航空需要が足元で激減し、航空機の減産を決めている。タイ航空関係者は急速な事業環境の悪化が、エアバスが撤退を決める決定打になったとみる。
タイ航空は新型コロナ問題の前からLCCとの競争激化や高コスト体質が響き、経営が悪化している。MROは安定収益をもたらす新事業として期待されていた。同社のチェルドパン上級副社長は地元メディアに対して「MROは再建計画の重要な部分なので、入札を実施して新しいパートナーを探す」と述べた。
タイ航空は新型コロナの感染拡大を受けて5月末まで全旅客便の運休を決めている。当面の資金繰りに1000億バーツ規模が必要とされる。タイ政府は作業グループを設けて救済策を協議しており、月内にも具体案をまとめる。公的資金の注入や、国営企業や財閥からの出資などが検討されているもようだ。
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April 23, 2020 at 03:15PM
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タイ航空、エアバスとの拠点計画白紙 再建が不透明に - 日本経済新聞
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