
2020年4月1日、群馬県の利根川支流に国が建設した八ツ場[やんば]ダムの本格運用が始まった。1952年の計画発表から68年が経過していた。 八ツ場ダムと川辺川ダムはかつて、「無駄な公共事業」の象徴とされていた。いずれも09年9月、当時の民主党政権が建設中止を表明。このうち、八ツ場ダムの建設中止を巡っては事業費を負担する6都県の知事らが反発し、11年12月に建設再開へと方針転換した。 一方、蒲島郁夫知事が白紙撤回を表明した川辺川ダム計画は、昨年7月の豪雨災害を機に流水型ダムという形で計画が再浮上。ダムを前提とした治水策がまとめられつつある。 国土交通省の社会資本整備審議会小委員会は今年7月、球磨川水系の河川整備基本方針の見直しに着手、3カ月後に方針案をまとめた。ただ、昨年と同規模の豪雨が降った場合、ダムなどの洪水調節施設が機能しても多くの区間で安全に水を流せる水位を超える内容だったため、流域住民らの反発を招いた。
今月4日に県庁を訪れたダム反対派の市民団体は「昨年の豪雨が考慮されないのは言語道断」と方針案を批判。基本方針案の検討過程で住民の意見を聞く場がなかったことにも抗議したが、県河川課は「法令上、そうした手続きになっている」とだけ回答した。 県庁を訪れた「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」の木本雅己事務局長(70)=人吉市=は「県は被災住民と共に、豪雨災害を総合的に検証するべきだ」と訴えるが、こうした思いとは裏腹に、審議会の分科会は6日後に基本方針案を了承。蒲島知事は「命と清流を守るという、緑の流域治水の考えがしっかり盛り込まれた」と胸を張った。 ただ、新たなダムの規模や構造、建設場所といった詳細は今なお示されていない。工期も国などが今年3月に策定した治水プロジェクトで「(30年度以降の)完成を図る」としているだけ。流域の首長らは早期実現を訴えるものの、先行きは見通せていない。
八ツ場ダムの完成までには方針転換から8年4カ月、着工からは5年3カ月を要した。川辺川での新たなダム計画の行方は、五木村の再建にも直結する。国交省九州地方整備局は「ダムの概要が村再建のベースになる。スピード感を持って詳細な計画を示したい」と議論を急ぐ方針。木下丈二村長は「二度と根底を覆すことがあってはならない」と訴え、方針転換を再度しないようくぎを刺した。(臼杵大介)
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