国連は2019年から2028年までを「家族農業の10年」(UNDFF)に設定し、家族農業の強化に向けた取り組みを強化している。SDGsをはじめとする「永続可能な社会」への転換に向けて、家族農業がそのカギを握ると考えているからである。(寄稿・家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン/常務理事・近畿大学名誉教授=池上 甲一)
家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は、この枠組みに沿って日本での活動を行う団体として発足した。UNDFFを推進するために、国連食糧農業機関や農民組織などが2019年に協力して、世界行動計画を策定した。 それは若者や女性、気候変動への対応など7つの柱からなる。次は各国が「国内行動計画」を作る番であるが、COVID-19感染症問題が影響して、なかなか進展しておらず、2020年12月31日現在で4か国が策定しただけにとどまっている。いわゆる先進国はまだどこも策定していない。 国内行動計画は、政府が関係者と協力しながら責任をもって作成することになっているが、残念ながら日本政府の動きはたいへん鈍い。そこで、FFPJは民間版の国内行動計画を作り、それに基づいて政府との協議を行いたいと考えている。もし国内行動計画の策定にこぎつけることができれば、先進国で最初のものなので、世界的にも高く評価されるだろう。 国内行動計画には、関係者の意見をできるだけ幅広く集めてきちんと反映させることが求められる。関係者には農家だけでなく、流通業者や食品産業、それから食べ手である消費者も含まれる。
いずれも、食と農を結ぶ仕組み(食農システム)を形作っている。また農家といってもとても多彩で、プロ農家に加えて、中小規模の兼業農家、土地持ち非農家、半農半X、自給菜園をしている人などいろいろな属性の人がいる。 こうした人たちがいないと、農村の地域社会は成り立たず、ひいては国土の荒廃や自然災害の増加、日本的な自然・ビオトープの悪化につながってしまう。農業の役割は食料生産にとどまらない。だから、国内行動計画には多くの立場からの関与(エンゲージメント)が必要なのである。 そこで、FFPJは行動計画のためのアンケートを実施することとした。内容は大きく2つに分けられる。ひとつは農林漁業の役割と政策の重点に関する質問群であり、もうひとつはUNDFFの「世界行動計画」に準拠した7つの柱(農業技術に関する質問を追加したので実際は8つ)に関する質問群である。 農林漁業について聞いているのは、UNDFFが農民に加えて、漁民、狩猟採集民、牧畜民、先住民などを対象にしており、また自然に基礎を置く生産活動という共通性を持っているからである。
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