在日米軍が今年2月、沖縄県の尖閣諸島での有事を想定し、周辺海域で物資補給に関する訓練の実施を計画していたことがわかった。悪天候のため見送られたが、米軍による尖閣諸島周辺での訓練は異例だ。この海域で海警船による領海侵入などの挑発行為を繰り返す中国を強くけん制する狙いもあるとみられる。
複数の日本政府関係者が明らかにした。訓練は、尖閣諸島の有事を巡って、在日米軍が出動するケースを想定したとみられる。輸送機から弾薬などの物資を投下し、海上で回収する一連の作業を確認する予定だったという。米軍による単独訓練で、事前に日本側に通告していた。
米軍はこの訓練で、尖閣諸島の防衛や奪還のため、島に上陸した部隊や周辺海域に派遣された艦艇への補給能力の強化を図ろうとした模様だ。
1月に発足した米国のバイデン政権は、バイデン大統領やブリンケン国務長官らが対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条が尖閣諸島に適用されることを繰り返し表明している。これに対し、中国側は2月1日に海上保安機関・海警局の武器使用条件を定めた海警法を施行し、挑発行為を続けている。
今回の在日米軍の訓練計画について、日本政府関係者は「尖閣問題に関与する意思を鮮明にし、中国が挑発をエスカレートさせることを防ぐ思惑がある」と指摘する。バイデン政権は中国に対抗するため、同盟国との連携強化を掲げており、「異例の訓練を実施することで、同盟国重視の姿勢をアピールする狙いがある」との見方もある。
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