モトリーフール米国本社、2020年12月13日投稿記事より
新型コロナウイルスのパンデミックは、世界中の多くの企業にダメージを与えました。
しかし、パンデミックはショッピファイ(NYSE:SHOP)にとっては追い風となりました。
パンデミックによって、多くの小売業者はeコマースに軸足を移すことを余儀なくされたからです。
ショッピファイは、これらの企業がオンラインストアを開設するのを支援し、実店舗への来客が全くなくなったとしても、売上高を生み出せるようにしました。
ショッピファイの株価はそれに応じて上昇しました。
株価は2016年から2019年にすでに1,400%以上も上昇していましたが、年初来からさらに166%も上昇したのです。
ただし、パンデミックの恩恵を受けたショッピファイ株の上昇が続く可能性は低いと思われます。
相反するメガトレンド
今世紀最大のメガトレンドは、小売業の多くがeコマースに移行したことです。
この移行はまだ初期段階にあります。
前四半期、eコマースは米国小売売上高のわずか14%にすぎませんでした。
今後、実店舗での小売とeコマースのバランスがどうなるかはわかりませんが、eコマースの割合が増えていくものと思われます。
そして、ショッピファイは今後何年にもわたってこのトレンドの恩恵を受けるでしょう。
ただしショッピファイにとって、一つの店で様々なものを買うという流れは逆風となります。
米国小売業者上位10社は2020年に少なくとも1.5兆ドルの総流通取引総額を達成する予定です。
米国小売売上高は自動車とガソリンの売上高を除いて、2020年には4兆ドル近くになる可能性があります。
アマゾン(NASDAQ:AMZN)は今後10年で市場シェアを大幅に拡大することになるでしょう。
また、マーケットはウォルマート、ターゲット、コストコ・ホールセール、ベストバイのような小売大手株の成長も織り込んでいます。
低コスト、幅広い店舗ネットワーク、およびオムニチャネルのことを考えると、マーケットの期待は正しいように考えられます。
2020年のショッピファイの成長の大部分は、小規模な加盟店がeコマースに移行するのを支援したことによるものです。
ショッピファイは、プラットフォーム上の企業がアマゾンを通じて販売するのに役立つツールを提供しています。
つまり、ショッピファイがアマゾンの急速な総流通取引額の成長に部分的に参加できることを意味しています。
ただし、アマゾンが米国小売業界でますます独占的な立場を確立するにつれて、ショッピファイのサービスの価値が低下していく可能性があります。
大規模な縮小は避けらない
ショッピファイは2020年に驚くべき決算を発表してきました。
前四半期には総流通取引総額が109%増となったことで、売上高が96%も急増したのです。
2020年の売上高は30億ドル近くに達する見込みであり、アナリストはショッピファイが2021年にはさらに売上高10億ドル近く上昇することを予想しています。
ジェフリーズのアナリストであるサマドサマナは、2025年までに売上高が100億ドルに達すると考えています。
現在、ショッピファイは2020年の予想PSR45倍で取引されています。
これは、超高成長のソフトウェア銘柄にとっては理にかなっているかもしれません。
ただし、ショッピファイのビジネスは、利益率の低いものです。
前四半期のサブスクリプションソリューションの売上高は、マーチャントソリューションの売上高が132%急増したのに対し、48%増にすぎませんでした。
サブスクリプションソリューションの粗利益率は78.7%でしたが、マーチャントソリューションの粗利益率は40.6%にとどまりました。
ロボット工学やフルフィルメントなどの分野へのショッピファイの投資は理にかなっています。
しかし、利益率の低いビジネスの割合がさらに大きくなるにつれて、ショッピファイの成長率は大幅に縮小する可能性があります。
高価な株価
ショッピファイが今後20年間、年間成長率20%で売上高を伸ばし、2040年までに約1,000億ドルの売上高を達成するとしても、時価総額は3,000億ドルにすぎません。
それは現時点の時価総額をわずか135%上回るだけです。
ショッピファイの長期的な成長率はさらに低くなると考えられます。
今後10年で年間売上高が100億ドルを超える大企業の顧客は減少し続けるでしょう。
ショッピファイが同社のプラットフォームを採用するように大手の小売業者を説得できない限り、ショッピファイの成長率はどんどん縮小していくでしょう。
急成長を続けるアマゾンキラー「ショッピファイ」とは
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