Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
大阪大学大学院と東北大学電気通信研究所による研究チームが開発した「PlanT」(PDFへのリンク)は、タスクの進捗などに応じて植物が成長する“ディスプレイ”だ。
このディスプレイは、植物の成長を制御し、数日から数年程度の中で積算されていく情報(積算情報)を可視化する。積算情報は、例えば、タスクの進捗、貯金箱の金額、筋トレの継続日数、学習した英単語数、読書のページ数などを指す。これら積算情報に応じて、植物の栽培に必要な水や日光などの刺激をコンピュータにより制御し、植物の成長度合いを変化させることで積算情報を表現する。つまり植物そのものがディスプレイとなっており、ぱっと植物を見るだけで、物事が順調に進んでいるのかどうかが分かるようになっている。
実験では、7〜10日程度で栽培でき、成長度合いに再現性があるカイワレ大根を用いた。プロトタイプは、日光の代わりにLEDライト、水中ポンプと霧吹きノズルで構成した水やりシステム、そして制御システム用コンピュータおよびサーバで実装した。
積算情報の入力は、ユーザーの直接入力、もしくはタスク管理ソフトウェアやWebサービスによる自動入力が考えられるが、今回は、任意のタイミングでユーザーのLINEにメッセージを送信する「LINE Bot」を使用し、それに応じたユーザー入力を用いて積算情報とした。
次に、積算情報に応じて、植物に与える刺激を決定する。具体的には、ユーザーから入力された情報をコンピュータにより数値化しサーバに格納。その積算情報に応じて、LEDライトの点灯と霧吹きノズルから噴射する水量を制御する。これにより、タスク達成率が高いと植物がより成長する積算情報可視化システムが出来上がる。
このシステムを実際に室内で7日間ずつ動作させた結果、システムフローが正常に動作し、積算情報をユーザーや第三者に表示させることに成功した。また、ユーザーへのアンケート結果から、栽培自体に楽しさを感じ、カイワレ大根に愛着を持つことが確認された。このことから、植物の成長過程を見続けることや栽培自体が動機付けとなり、ユーザーのタスクに対するモチベーション向上が期待される。
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