Tuesday, September 14, 2021

島根原発2号機の審査「合格」、避難計画策定が必要な半径30キロ圏内に県庁や県警本部 - 読売新聞

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 原子力規制委員会は15日の定例会合で、中国電力島根原子力発電所2号機(松江市、出力82万キロ・ワット)について、再稼働の前提となる安全審査に合格したことを示す「審査書」を決定した。同原発は全国で唯一、県庁所在地に立地する。再稼働の地元合意に向けた議論が今後本格化する見通しだ。

 規制委は6月に審査書案を了承し、意見公募などの手続きを進めていた。福島第一原発事故後に施行された新規制基準の審査に合格したのは10原発17基目。

 審査は地震想定の検討に時間を要し、7年半を超えた。同社は敷地周辺を通る活断層の長さを見直し、想定される最大の揺れを申請時の600ガル(ガルは加速度の単位)から820ガルに引き上げた。津波の最大想定も高さ約9・5メートルから約11・9メートルに修正した。同社は再稼働の時期について明らかにしていない。

 島根原発では、事故に備えた避難計画の策定が必要な半径30キロ・メートル圏内の島根、鳥取両県の6市に約46万人が住み、島根県庁や県警本部が含まれる。政府の原子力防災会議(議長・菅首相)は今月7日、居住地ごとに30キロ・メートル圏外の避難先を確保するといった地元自治体などの計画を了承した。

 島根2号機は、2020年2月の東北電力女川2号機以来、約1年半ぶりの「合格」となった。14~17年には毎年2~6基合格していたが、18年以降は年0~1基にとどまる。次に合格する原発が出るのも1~2年後とみられる。

 審査が長期化している主な原因は地震想定の見直しだ。審査中の原発は残り10基(建設中を含む)だが、例えば日本原子力発電敦賀2号機(福井県)などは敷地内の断層を巡り、審査が序盤で滞っている。京都大の釜江克宏特任教授(地震工学)は「濃淡はあるが、安全性を立証しにくい原発が残っている」と指摘する。

 合格後も地元合意や安全対策工事に時間がかかり、合格した17基中、再稼働したのは10基にとどまる。温室効果ガスの大幅削減を目指す政府は、30年度に原発30基程度の稼働を見込んでおり、安全が確認された原発は重要な役割をもつ。脱炭素社会に向け、長期的に原発を活用するのであれば、原発の新増設の議論も避けるべきではないだろう。(科学部 江村泰山)

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