
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は13日、新型長距離巡航ミサイルの試射を発表することで軍備増強が計画通りに進む状況を誇示した。一方、対米関係の破綻につながりかねない大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射などには踏み出さず、バイデン米政権の出方を見定める思惑もありそうだ。
1月の朝鮮労働党大会で示された「国防科学発展および兵器体系開発5カ年計画」の重点目標達成で大きな意義を持つ戦略兵器-。北朝鮮国営メディアは、今回のミサイルをこう位置づけた。開発は2年間に及び、数十回のエンジン噴出実験を経た点も強調した。
国際社会による制裁や新型コロナウイルス対応の国境封鎖で経済難が深まる中でも、党の方針通りに新兵器開発が進んでいると印象づける狙いとみられる。
今回、発射場所も着弾点も公表せず、日米韓の探知能力を探る意図もうかがえる。低高度で飛ぶ巡航ミサイルは探知が難しく、韓国紙は、韓国当局が探知に失敗したとの見方を伝えた。
9日の建国記念日に続き、10月10日に党創建記念日を迎える北朝鮮にとって国威発揚の材料ともなる。北朝鮮問題をめぐる日米韓高官の協議を14日に控え、米国の注意を引くタイミングを計った可能性もある。
ただ、トランプ前米大統領が就任した2017年に核実験やICBM発射を強行し、トランプ氏の関心を引きつけ、翌年の対話攻勢に持ち込んだ当時とは様相が異なる。バイデン大統領が就任した今年1月以降、試射は巡航ミサイルや短距離弾道ミサイルにとどめ、今月9日の軍事パレードも非正規軍を動員、弾道ミサイルは登場させなかった。
バイデン氏がトランプ氏のような米朝首脳間の直談判を否定的にみる中、米側を刺激しすぎれば、対北政策がオバマ元政権時代の「戦略的忍耐」と呼ばれる事実上の無視に戻りかねないとの懸念があるようだ。
一方で、北朝鮮は8月の米韓合同軍事演習に反発して対抗措置を示唆しており、米国の対北政策に変化がみられなければ、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試射など、軍事的挑発の度合いを高めていく可能性も否定できない。
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