
杉山匡史
島根県に大きな被害を及ぼす大地震と中国電力島根原発(松江市)の事故が発生した際、市民は市の広域避難計画通りに避難できるかを検証する取り組みが21日、市内であった。市民団体「原子力災害避難ワークショップ実行委員会」が計画の実効性を確かめようと模擬体験を交えて催した。
島根原発は全国で唯一、県庁所在地にあり、避難計画策定が必要な30キロ圏に鳥取県内を含めて約46万人が暮らす。2号機については再稼働に向け、原子力規制委員会が事実上「合格」の判断を下したことで、立地する同市と島根県の同意の動向が焦点になっている。
こうした状況を背景に市民による実行委が、避難計画を自分のこととして考えようと企画した。防災意識を高めるねらいもあり、市内外から20人が参加した。
市原子力安全対策課の担当者から島根原発の仕組みや放射線の体への影響、避難ルートは渋滞を避けるために市中心部の宍道湖大橋などの4橋は極力通さず、地震被害を受けにくい幹線道路を選んでいることなどの説明を受けた。
その後、3班に分かれた参加者は広げた県地図を見ながら地震発生時、地震による原発事故の発生、大量の放射性物質の放出――など災害の段階に応じた避難方法などを考え、その都度、「家族は無事か」「橋は大丈夫?」「デマに注意」といった心境や思いなどを用紙に記し掲示していった。
参加者からは「弱者をどうやって守るかを考えさせられた」「行政の指示が出る前に逃げる」などの感想や、市に対して同様の検証を市民と一緒に取り組む要望も出された。
実行委の一人で、中央学院大学の福嶋浩彦教授は「市民も地域の連携や支援体制づくりなどに本気で取り組まないといけない。検証から段階的な避難は現実的に通用しないとわかったのではないか」と話した。(杉山匡史)
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