タイのプラユット・チャンオーチャー首相を議長とする国家エネルギー政策評議会(NEPC)が8月4日に開催され、「国家エネルギー計画枠組み」を承認した。スパッタナポン・パンミーチャウ副首相兼エネルギー相の発表によると、同枠組みには、2065年から2070年までに、または今後50年程度で、クリーンエネルギーへの段階的移行とカーボンニュートラル達成を目指す政策方針を盛り込んだ。低炭素経済・社会の実現に向け、エネルギー分野で以下の取り組みを推進する。
(1)再生エネルギー発電比率を50%以上にする(長期蓄電システム導入費用も考慮)。
(2)現代のイノベーション・技術を用い、エネルギー効率性を30%以上改善する。
(3)以下の「4D1E(4つのDと1つのE)」に従って、エネルギー産業を再構築する。
- 脱炭素(Decarbonization):エネルギー分野の二酸化炭素(CO2)削減
- デジタル化(Digitalization):エネルギーを管理するデジタルシステムの採用
- 分散化(Decentralization):発電・インフラの分散
- 規制緩和(Deregulation):エネルギー関連規制の現代化
- 電動化(Electrification):化石燃料の代わりに電気を利用
また、エネルギー省は、今後10年(2021年から2030年)の緊急課題として以下事項を挙げた。
(1)各エネルギー分野を包含する国家エネルギー計画の策定
- 電気:再生可能エネルギー比率を50%以上に引き上げ。電気自動車(EV)利用の促進。電力グリッドの近代化。発電消費者(プロシューマ)を増やすための規制緩和。
- 天然ガス:市場の開放。国内調達と輸入LNG(液化天然ガス)のバランス。地域における電力取引ハブ化、LNGハブ化。
- 再生エネルギー、省エネルギー:全ての分野で再生エネルギー生産・利用、エネルギー効率化の促進。
(2)クリーンエネルギー発電の増加、化石燃料ベースの電力購入減に向けて、今後10年間で精査を行う。
(3)送電線や売電関連インフラなどを柔軟かつ効率的に改善する。電力安全保障を確保し、再生可能エネルギー発電の成長に向けて準備を整える。
新たな国家エネルギー計画は2022年までに策定する見通し。その骨子は8月から10月にかけて実施される公聴会で発表される。公聴会で吸い上げられた意見は、既存の主要5計画である電力開発計画(PDP)、代替エネルギー開発計画(AEDP)、エネルギー効率開発計画(EEP)、ガス計画、石油計画に反映され、それらが国家エネルギー計画に統合された後、再度公聴会での検討を経てNEPCで検討・承認される予定となっている。
なお、「国家エネルギー計画」については、日本の経済産業省がエネルギー省の立案に協力することとされている(経済産業省発表)。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
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