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ロンドンで行方が分からなくなり遺体となって発見された女性の追悼集会で、警官隊が参加者を強制排除した問題をめぐり、辞任要求の声が出ているロンドン警視庁のクレシダ・ディック警視総監は14日、事実関係の点検が必要だからこそ自分は辞任するつもりはないと話した。ボリス・ジョンソン英首相は、集会での事態を「深く憂慮」していると声明を出した。事件ではロンドン警視庁の現職警官が、被害女性を拉致・殺害した疑いで訴追されている。
この警察の対応にはジョンソン英首相(保守党)やプリティ・パテル内相、サディク・カーン・ロンドン市長(労働党)のほか、複数の議員からも批判的な声が上がり、一部の野党からはディック警視総監の辞任要求も出ていた。パテル内相は、警視庁の対応について独立調査を指示した。
消息筋によると、ジョンソン首相とパテル内相は、ディック氏の留任を支持しているという。
こうした状況でディック警視総監は追悼集会が「合法だったら自分もあの場にいたはずだ」と、参加者に理解を示した上で、一連の出来事を受けて自分はますます警視庁を指揮する意志を固めており、辞任するつもりはないと述べた。

警視総監は「冷静な点検」が必要だと認めながら、「最初の6時間は静かで、各自がそれぞれ花を供えるなどしていて(ロックダウンの)規則違反にならなかったが、残念ながら後からとても大きい群衆が集まり、スピーチが相次ぎ、私の部下たちが『これはいまや、大勢の健康に相当なリスクをもたらす、違法な集会だ』と、私が見る限り正しく判断した」と警官隊の対応を擁護。
「警官たちは現場の人たちに、この違法な集会から離れるよう説得したし、本当に多くの人はそれに応じた。残念ながら、ごく少数の人たちが説得に応じなかった」と述べた。
ディック氏はさらに、「あの現場で対応に関わっていない人に、あの場で何が正しく何が間違っていたか、詳細に判定するのは無理だと思う(中略)警察としてはとてつもなく対応が難しい事態だった」と述べた。
その上で、「警官たちはこの1年間ずっとそうだったように、新型コロナウイルスの制限の中で警察としての対応を求められ、中立・公平に法律を執行しなくてはならない。その一方でもちろん、分別や良識をもって、規則が理解できない人がいれば理解を手助けしようとしてきた。それだけに、サラさんの追悼集会があのような形で終わってほしくなかったので、集会対応について事実関係を点検しましょうと言った」のだと話した。

Reuters
ジョンソン首相は14日夜に声明で、クラパム・コモンの事態を「深く憂慮」していると述べ、警視総監が「対応の点検に前向きな姿勢」だと明らかにした。パテル内相が警察監察局(HMIC)に、「今回の警察対応から何を学ぶべきか点検するよう」調査を指示したと説明した。
首相はさらに、15日にも政府の犯罪・司法タスクフォースを開き、「女性を守り、この国の市街地の安全を確保するため、どのような追加措置が必要か検討する」方針を示した。
「サラ・エヴァラードさんの死を受けて私たちは、女性や少女への暴力を駆逐するという決意のもとで団結し、刑事司法制度の全てを使って女性や少女を守れるようにしなくてはならない」と、首相は声明で述べた。
ロンドンのカーン市長も警察対応についての点検を求め、クラパム・コモンでの対応は「受け入れがたい」と批判した。市長は、警視総監や警視総監補と協議したものの、「2人が示した説明に満足していない」と明らかにした。
クラパム・コモンでの追悼集会は当初、民間団体「Reclaim These Streets(この街の道を取り戻そう)」が企画。同団体は、感染対策を施しつつ実施する方法を警察と協議しようとしたが、警察は「建設的に関わろうとしなかった」と批判している。
カーン市長は、集会開催へ向けて主催者と協力するよう、警察に指示していたと説明。「先週の時点でロンドン警視庁から、集会では丁寧に対応すると保証を受けていた。実際にはそうならなかったと、私は思う」と書いた。

PA Media

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追悼集会について「Reclaim These Streets」は、「法的に危険な状態」に陥るおそれがあるため、集らないよう呼びかけていた。代わりに、エヴァラードさんが最後に目撃された時刻の午後9時半に、自宅の玄関先でキャンドルや明かりをともすよう呼びかけたが、実際には数百人が公園に集まり、警察による強制排除につながった。
「Reclaim These Streets」は14日、ディック警視総監にあてた手紙をツイッターに投稿し、「感染対策をとった上での集会警備を実施しなかった」ことで、参加者に「深刻な健康リスク」や警官隊に「制圧され罰金を与えられ逮捕される」危険をもたらしたと批判した。
警視庁のヘレン・ボール警視監は14日早朝、集会の現場では何百人もの人が「ぎっしり密集」していたため、感染リスクがあったと声明で説明。「強制行動が必要となる立場に置かれたくはまったくなかったものの、大勢の安全を守る圧倒的な必要があったため、我々はその立場に置かれてしまった」と述べた。
一方で「Reclaim These Streets」のジェイミー・クリンガー氏は、自分たちには安全対策の訓練を受けた会場係が50人もいるので、集会は予定通り正式に実施していれば「はるかに安全だったはずだ」と反論している。

追悼集会から一夜明けた14日にも、クラパム・コモンでにわか仕立ての献花台となった野外円形ステージを大勢が訪れた。現場で取材するBBCのエミリー・ユニア記者によると、花束を供え、キャンドルをともし、黙祷(もくとう)する人の流れは、途切れることなく続いた。

Reuters

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現在のイングランドでの集会ルール
- 現在のロックダウン規則では、屋外で2人が娯楽のために会うことができる。これには「ひとつのベンチでコーヒーを一緒に飲む」ことも含まれる
- 3月29日以降、特定の1世帯の人と屋外で会えるようになる。あるいは、6人以内のグループなら屋外で会えるようになる
- 警察は違法な集会を解散させることができる。30人以上の違法な集会には最大1万ポンドの罰金を科すことができる
- 昨年のロックダウン中に、「Black Lives Matter(黒人の命も大事)」デモやロックダウン反対デモが起きた際には、警察は厳しく取り締まらなかった

からの記事と詳細 ( ロンドン警視総監、辞任を否定 失踪女性追悼集会の対応めぐり - BBCニュース )
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