Saturday, November 14, 2020

市民二分 複合図書館計画どうなる? 柳井 - 朝日新聞社

 山口県柳井市が旧柳井商業高校跡地に計画する複合図書館建設計画の賛否をめぐって、市民を二分するような状況が続いている。当初予定の2021年度完成は困難な状況で、新型コロナウイルスの影響もあって先行きは不透明。来年2月の市長選ではその是非が最大の争点となりそうだ。

 JR柳井駅から北へ600メートルほど。市中心部にある旧柳井商業高校跡地は観光名所の一つ、白壁の町並み近くの住宅街の高台にある。旧校舎やプールなどは既に解体され、県から無償で譲り受けた約3万5千平方メートルの更地が広がる。

 「市民の意見も踏まえて考えていきたい」

 井原健太郎市長がこう述べて跡地の整備計画を発表したのは2017年。カフェや多目的スタジオを備えた複合図書館はその中核施設で、鉄骨一部2階建て延べ約2200平方メートル。周辺には公園なども整備する。

 これに待ったをかけたのが、18年に結成され、1万人余りの反対署名を集めた「柳商跡地図書館建設に反対する市民の会」。島元三雄代表は「まちづくりで大切なのは過去を調べて未来を考えること。計画には将来のビジョンが示されておらず、優先すべき事業とはいえない」と指摘する。

 市は理解を求めて昨年4~5月、計画の説明会を市内14カ所で開催したが、市議会は翌月の定例会で建設に反対する請願を賛成多数で採択。市は予定していた9月定例会への建設費の計上を見送り、以後、提案保留が続く。

 一方で、19年には跡地の利活用計画のコンセプト「子ども教育環境の充実」を支持する人たちでつくる「複合図書館の実現をめざす市民の会」が発足。元市教育長の高井孝則代表は「既存の図書館は手狭で老朽化している。子どもたちの将来も見据え、一般の住民も含めて本を読む環境を広げたい」と話す。

 今年8月には、市内外合わせて1万人以上が趣旨に賛同したとして、同会が建設の早期実現を求める要望書を井原市長に提出した。これに先駆けて市長は5月臨時会で「当面はコロナ対策を最優先にする」と表明し、賛否の議論はストップしている。

 ただ、市は既に設計費や旧校舎の解体などで約3億8千万円を投じており、来年2月28日投開票の市長選での論戦が注目される。

 井原市長は9月、4選をめざして立候補表明。その約3週間後には同市出身の新顔、下村太郎氏(37)が立候補を表明し、整備計画について「一度立ち止まって検討したい」と話している。

     ◇

 幅広い年齢層の集客をめざし、複合施設などに図書館を設ける自治体は各地にある。2013年、佐賀県武雄市は市図書館の活性化の起爆剤に、レンタル大手「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者に運営を始めたことで注目された。

 こうした施設では通信環境が整ったカフェを併設する事例も多い。周南市が18年に整備した徳山駅前図書館はCCCが指定管理者で、スターバックスが入る。JR徳山駅前の立地条件を背景に開館1年で入館者200万人を突破した。

 しかし、ここにきて新型コロナによる影響が各地の図書館を直撃した。日本図書館協会は感染症対策の対処方針を打ち出し、徳山駅前図書館も、今春以降は休館もあって入館者は前年比で3割ほど落ち込んでいるという。

 国の文化審議会は今月9日、新型コロナによる休館や利用制限が相次いだことを踏まえ、図書館が電子データを利用者のパソコンやスマートフォンに送れるようにする報告書をまとめた。コロナ禍で、図書館のあり方を模索する論議も迫られている。(具志堅直)

     ◇

 〈柳井市の複合図書館計画〉 旧柳井商高跡地を利活用する整備計画の中核施設。蔵書は15万冊で、年間来館者は10万人を想定。標高10メートル以上の高台を生かした防災機能を備えた芝生広場のほか、弓道場なども整備する。概算の総事業費は18億5千万円。図書館建設費は10億3600万円。

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