Wednesday, August 4, 2021

【社説検証】エネルギー基本計画案 「原発維持は非現実的」朝毎 産読は「原発新増設が必要」 - 産経ニュース

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経産省で開かれた「エネルギー基本計画」に関する有識者会議=7月21日午後
経産省で開かれた「エネルギー基本計画」に関する有識者会議=7月21日午後

経済産業省が政府のエネルギー政策の中期的な指針となる「エネルギー基本計画」の素案をまとめた。今回の基本計画案では2030年度の電源構成について、太陽光などの再生可能エネルギーを主力電源と位置付け、電力全体に占める電源比率を現行計画の22~24%から36~38%へと大幅に引き上げた。

一方、同じ非化石電源である原発比率については、20~22%と現行の目標数値を据え置いたが、建て替え(リプレース)や新増設は計画への明記を再び見送った。原発の取り扱いをめぐって各紙の論調は大きく分かれた。

産経は「天候などに発電量が大きく左右される再生エネを増やすだけでは、暮らしや産業を支える電力の安定供給は果たせない」と指摘した。そのうえで「安定供給につながる脱炭素電源の原発を将来にわたって活用するためには、建て替えや新増設、そして小型炉(SMR)の開発などに取り組む姿勢を国を挙げて明示しなければならない」と注文した。

読売は「東日本大震災後に稼働に向けた申請があった原発27基中、再稼働したのは10基にとどまっている。30年度に20%にするには、27基全てが稼働しなければ難しいという。政府が責任を持って、再稼働を後押しすることが必須だ」と論考した。そして「政府は新増設の論議を早期に始めるべきだ」と求めた。

日経も原発について「今回の基本計画は新増設の議論を封印した。基本計画にはエネルギー戦略の方向性を長期で示すことで、企業が設備投資の判断をしやすくする役割がある」と強調した。そのうえで「原発の将来利用について先送りすれば、いざ新増設が必要となったときに間に合わない恐れがある」と懸念を示した。

これに対し、「理解できないのが、原子力の比率を20~22%に据え置いたことだ」と難じたのは朝日だ。

同紙は「素案が示す原発比率の達成には、新規制基準で審査中の11基を含む国内の原発27基を、8割の高稼働率で運転させる必要がある」と指摘したうえで、「しかし現実には、福島の事故以来、国民の不信感が根強く、再稼働は進んでいない」と現状との乖離(かいり)を問題視した。

毎日も「大きな疑問が残るのが原発の比率だ。2015年の改定以来の20~22%を踏襲しようとしているが、非現実的だ」と批判した。そして「運転開始から40年を超える老朽原発の延命も必要となり、『原発依存度をできる限り減らす』という政府方針にも反する」と強調した。

一方、産経は基本計画で主力電源と位置付けた再生エネについて、「大規模な太陽光発電所を建設できる用地が限られる中で、山裾を切り開いて太陽光パネルを設置するような開発工事を独自に規制する自治体も増えている」としたうえで、「安全対策を強化し、地域との共生にも配慮を促す必要がある」とくぎを刺した。

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