Wednesday, October 14, 2020

社説 エネルギー計画 大転換に踏み出すとき - 信濃毎日新聞

 政府がエネルギー基本計画の見直しに向けた議論を始めた。

 電源構成目標などエネルギー政策の中長期的方針を示す計画だ。3年ごとに見直し、2011年の東京電力福島第1原発事故後3回目の改定となる。

 地球温暖化への危機感が強まり、世界で脱炭素化が加速している。再生可能エネルギーを重視する目標を打ち出し、政策の大幅な転換に踏み出すべきだ。

 日本は今年、温室効果ガスの削減目標を据え置いて国際的な批判を浴びた。欧州連合や英国は2050年までの実質ゼロを決めた。遅れは明白になっている。

 脱炭素化には、石炭や液化天然ガス(LNG)による火力発電の割合を減らす必要がある。

 18年度の実績は火力77%、再生エネ17%、原発6%だ。火力の割合が高い背景には、福島事故後に各地の原発が停止し、補うため依存度が高まったことがある。

 同年度に決まった現行の基本計画は、30年度の電源構成目標を火力56%、再生エネ22〜24%、原発20〜22%と設定している。

 政府は今年、温室効果ガスを大量に出す非効率な石炭火力の休廃止を進めると決めた。一方、高効率な石炭火力については今後も活用する方針を示している。

 石炭火力は高効率であっても多くのガスを排出する。全廃へかじを切り、火力の電源構成割合を大きく引き下げるべきだ。

 代替電源として議論の対象になるのが再生エネと原発である。

 世界では、太陽光や風力の発電コストが技術の発達で低下し、優位性が年々高まっている。英国などの研究チームの報告によると、再生エネの発電量は19年、世界全体で初めて原発を上回った。

 次期基本計画に対しては、自治体や企業の団体から再生エネを40%超などとする提言も出ている。思い切った目標を設定し、拡大に必要な送電環境の整備や技術開発を官民を挙げて進めたい。

 現行計画は原発を基幹電源と位置づける。構成目標の達成には20〜30基の再稼働が必要だが、実現したのは9基にとどまる。

 福島事故後、原発の安全性への国民不信は薄れていない。安全対策に巨額の費用がかかり、採算面の厳しさも増している。撤退への道筋を付けるべきだ。

 基本計画を議論するのは経済産業省の調査会の分科会だ。省エネを含めて将来の生活を大きく左右する問題なのに、国民の声が十分に届いていない。議論の在り方も見直していく必要がある。

(10月15日)

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October 15, 2020 at 07:19AM
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