日本経済はコロナ禍で大きな衝撃を受けた。異例の政策の効果もあり、金融システムは一応の安定を保ってきたが、今後、「止血」から回復にどのように向かうのか。停滞が長びいた場合にはどう対処するのか。課題はなお山積している。
日本銀行が先週発表した「金融システムレポート」によると、コロナ禍での企業の営業収入の落ち込みは、公的な給付金や資金繰り支援で、全体としては相殺されている。その結果、倒産や支払い不能になった企業は大きくは増えず、金融機関への影響も小さいという。
今後については、景気回復が順調に進む場合に加え、ある程度回復が遅れるシナリオでも、銀行経営が大きく揺らぐことはないと分析されている。だが回復の遅れで金融市場が混乱したり、景気が停滞を深めたりすれば、銀行の体力が落ちて貸し出しが減るリスクがあるという。
想定には幅があるにせよ、日銀は、銀行に「金融仲介機能の円滑な発揮」を求めている。預金で集めたおカネを、適切に貸し出しなどに回す役割だ。
近年の経済の停滞は、金融のゆがみが危機を引き起こし、経済全体を振り回すといった側面が強かった。今回は感染拡大で経済活動が抑え込まれるというまれな展開をたどったが、銀行は今こそ、企業や家計の経済活動を支える責務を、十分に果たさなければならない。
今後の回復に資するという点では、貸出先の経営の先行きを見極め、それに応じて本業を支援することが必要だ。リーマン・ショックが製造業の大手を直撃したのに対し、今回は中小の非製造業、とりわけ飲食や宿泊、交通など、元から経営体力に乏しい部門に打撃が集中している。
止血ができても、借り入れが膨らんで本業が低迷したままでは、新しい投資もままならない。債務削減や事業の譲渡・再編、業態の転換を含め、当事者や働き手に大きな犠牲を強いることなく再生に向かえるよう、金融機関の支援が求められる。
その役割を果たすためには、銀行自らの経営体力にも注意を払うべきである。日銀はリスク管理の強化に加え、適切な引き当てや資本の確保がポイントだと指摘した。
政策面でも、止血から再生支援の充実へという局面変化に対応した手を打ちつつ、なお当面は、万一危機が深刻化した際にも備えるという両にらみを続けるしかないだろう。過去の危機やそこからの回復過程で学んだ教訓を生かす必要がある。
欧米では感染が再び拡大し、状況は予断を許さない。官民ともに知恵の絞りどころだ。
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October 28, 2020 at 03:00AM
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(社説)金融システム 経済の安定を保つ責務:朝日新聞デジタル - 朝日新聞社
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