国内に上場する3月期決算企業のうち、6月までの業績を開示したタイミングで今期計画を引き上げた企業は1割を超えた。業績相場の期待できる決算発表シーズンだが、株式市場の反応は鈍い。
4月から8月11日までに通期計画を開示した1863社を対象にブルームバーグが集計した結果によると、11.1%に当たる207社が計画を上方修正した。第1四半期の業績開示の時点で上方修正した企業は、前年度までは1-5%強にとどまっていたものの、今年度は増えた。一方、下方修正した企業は29社と1.6%。前年も20社と1.6%だった。
決算期 | 対象企業数 | 上方修正した企業 | 下方修正した企業 | ||
---|---|---|---|---|---|
18年3月期 | 1830 | 99 | (5.4%) | 13 | (0.7%) |
19年3月期 | 1856 | 77 | (4.1%) | 22 | (1.2%) |
20年3月期 | 1877 | 23 | (1.2%) | 71 | (3.8%) |
21年3月期 | 1272 | 48 | (3.8%) | 20 | (1.6%) |
22年3月期 | 1863 | 207 | (11.1%) | 29 | (1.6%) |
(出所:ブルームバーグ) |
計画上振れが目立ったのは、新型コロナウイルスの感染が広がる中で企業が慎重に策定した期初計画に比べ、感染拡大の影響が小さかった要因がある。4-6月の間で国内外でワクチン接種が進み、消費が改善し商品市況も好転した。
業種別にみると、海運業は64%の企業が業績計画を上方修正した。鉱業が50%、鉄鋼は27%が計画を増額。非鉄金属とゴム製品のそれぞれ33%が引き上げ、素材産業が上位に並んだ。
■業績上方修正に対して物足りない株高
企業業績の計画上振れが相次ぐ中で、割安感の出た日本株を投資家が積極的に買い進む動きはない。TOPIX(東証株価指数)採用企業の予想株価収益率(PER)は15倍近くに低迷したままだ。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「足元のコロナ感染拡大懸念や、菅政権の支持率が懸念され、良好な決算の割には株価の反応が鈍い」と指摘する。国内でもワクチン接種が進んでデルタ変異株の感染拡大がある程度落ち着けば、内需中心に収益の拡大する期待が高まる可能性を指摘する。
岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは、コロナ感染がコントロールできるようになり経済が回復するシナリオが、1年先送りになる懸念があると話す。製造業に依存する日本経済が内需の回復により来年度に向けて全体として良くなると織り込んできたが、勢いがなくなってきたとみる。
今期の滑り出しとなる第1四半期は好スタートを切ったが、世界的に変異株の感染がまん延して年後半に向けて収益改善の勢いが持続できるかは不透明だ。株式市場は経済活動の正常化を疑い、好業績を織り込めていない。
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