香気成分を軸としたレシピ構築という新たなアプローチの方法を研究するバーテンダー・桐山透氏が、自身のwebサイトを開設。前例の無い方法で制作したカクテルなどを例に考察をまとめたレポートも公開した。
自分好みの香りから、飲みたいお酒を選ぶのが当たり前になるかもしれない。
香りからくる味わいに着目した新しいアプローチ法
大阪にあるバー「KIRIP TRUMAN(キリップ・トルーマン)」、そして日本初のモクテル(ノンアルコールカクテル)専門店である「TMBM」を経営する桐山氏。
北浜の「KIRIP TRUMAN」は、ウイスキーとワインのほか、樽の中にセッティングして提供するなど趣向を凝らしたカクテルを楽しむことができる店。
一方「TMBM」は、月替わりのモクテル、香り高いオリジナルモクテルなどを提供。アルコールが苦手な人でもカクテルのような独創性の高いドリンクが楽しめるテイクアウト店だ。
桐山氏は、世界最大のカクテルコンペティション「WORLD CLASS」日本大会TOP50に加え、自他店問わずプロモーション動画の映像制作も単身で手がけるなど、精力的な活動を続けている。
香気成分を応用したレシピを開発
桐山氏のサイト内で公開されているのが、『香気成分を軸としたレシピ構築』という研究レポートである。
これはGC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)という機器を使用し、素材が持つ香気成分を分析、そこからレシピを組み立てていくという、今までになかったレシピへのアプローチ方法だ。
食材や飲み物は、数百の香気成分の集まりで香りが構成されており、桐山氏が着目したのはその中でも特に計測値が大きかったもの。それ単体である素材の香りを想起させることができるほどのキャラクターを持った香り分子である。
GC-MSによる香気成分の分析は数十年前から行われてきたものの、実際にそれを応用してレシピを作られるには至っていなかった。
ネットや文献に挙げられている過去の分析結果と、自身で解析したデータを用いることで、独自の考察を挙げ、サイト上記で制作したカクテルも紹介している。
香気成分を独自に解析し、制作したカクテル
掲載しているカクテルの中でも、その方法が顕著に活かされている2作品を紹介してこう。
「Light It Dark」はハンガリーのハーブリキュール「ウニクム」をGC-MSにより独自に成分分析し、そこから見出した可能性のある主要香気成分と共通のものを持つ素材を集め、自家製のビターズ(苦味酒)を制作し、カクテルの素材に加え、ウニクムの特徴である苦味を強化した。
「不思議なココ」は、アスパラガスとすり胡麻に、ナッツ様の香りを持つ香り分子が含まれていることに気づき、最終的な味の着地点を“不思議な味わいのココナッツ”に定め、ココナッツと共通香気成分を持つ素材でレシピを組んだ。
まだ不明瞭な点も多く、さらなる研究が必須な領域ではあるが、数年先の飲食業界でこの知識が少しでも活かしてもらうことができれば、と桐山氏は語る。
ガスクロマトグラフを使用した新たな研究のレポートなどは、今後も随時WEBサイトにアップロードされる予定。新しい角度から味わうカクテルを楽しめる日が待ち遠しい。
「桐山透」WEBサイト
http://www.torukiriyama.com/
KIRIP TRUMAN
所在地:大阪府大阪市中央区北浜1-1-29 ケイアンドエフ北浜ビル3F
公式instagram:https://www.instagram.com/kiriptruman/
TMBM
所在地:大阪府大阪市西区西本町1-7-21 ニシモトビル1F
公式instagram:http://instagram.com/tmbm_themocktailbarmori
(hachi)
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